2013年4月29日月曜日

これぞ職人の超絶技巧だ!!牛本革(ヌメ革タンニンなめし)多機能ペン!「プラチナ万年筆MWBL-5000Tバスケットパターン型押し本革巻き」

今回の記事では、喉から手が出るほどに欲しかった本革ペン、取り寄せまでにかなり長時間を要した「プラチナ万年筆MWBL-5000Tバスケットパターン型押し本革多機能ペン」について書かせて頂きたいと思います。


このMWBL-5000Tは、とにかく入手が大変でした。

「取り扱い休止中」ステータスの解除を今か今かと待ち、取り扱い可能になって焦って注文をかけてからも、数回の"納期のめどが立たないのでキャンセルしてもいいです"メールに耐え、ついに出荷メールが来た時にはガッツポーズをしてしまいました。

化粧箱の紙製シールドにプリントされた木材調の柄も喜ばしい。


紙製シールドを外すと、グリーン・ブラウンの落ち着いた本体ケースが出てきます。

運送会社さんが家に運んで下さった時なんて、もうとっくにカードでの支払いが完了して、それもかなりの日数が経過しているのにもかかわらず「おお、本当に売ってくれたのか!」って頭を下げたい気持ちでした。


ケースを開けると、じらすように包み紙でMWBL-5000Tの姿が覆われていていました。

取扱説明書は2つも付属しています。

普通の多機能ペンには当然付属していない革製品の取扱い注意書が気分を盛り上げてくれます

MWBL-5000Tの革素材は「牛本革(ヌメ革タンニンなめし)」なのですが、革用クリームは使用禁止で、消しゴムや固く絞った濡れた布での手入れが推奨されていますね。


包み紙を開くと、うひゃ、これはナニモンだ!?

ヌメ革タンニンなめしにバスケットパターン模様をつけた、深い艶を発したとんでもないボディが、ビカッとその姿を現してくれました。

"ヌメ革タンニンなめし"というのは、タンニンの溶液層に皮を漬け込み、気が遠くなるような手間(何十もの工程!!)をかけてなめし、しかも表面に生物らしさを残して作られた革なのですね。


素材だけでも普通じゃない大変なシロモノなのに、これをプラチナ万年筆社の誇る職人さんによる超絶技巧によって、合わせ目が全く分からないようにペン軸全周に巻いた特級の美術品になっているのです。

他社製品の本革ペンの中には、ものによってはですが、まるでオフィスのカーペットのように合わせ目がクッキリしてて落胆させられたりする事もあるので、この卓越した職人技を見られただけでも、定価の5250円をやすやすとお得と感じられる価値ある逸品です。


ペン軸の素材は、元素29(Cu)銅+元素30(Zn)亜鉛というか、つまりは真鍮。
クリップや中間リングなどの金属部分は、クローム加工を施しています。

さすがに、コスト的に上限いっぱいで、貴金属加工(ロジウムやルテニウム等)まではやれませんよね。


彫刻が施された天冠部分も存分に貫禄を発しており、とにかく全体的に付け入る隙がありません。

衆目の集まる重要な場にも、持って行きたくなるペンの候補に挙がること請け合いです。


ペン先は、多機能筆記具おなじみのペン軸回転繰り出し方式。

ただ、メカニズム的には、もちろん決して悪いものではないのですが、切り替え時の音と振動が大きめな中級ランク品を採用している感じです。


同社のMWBA-5000クリアセル・グリーンや、ゼブラ社のシャーボXのような、静音で滑らかな最上級グレード・メカニズムが搭載されているのだろうと思うと、やや拍子抜けしてしまいますが、いかんせん革のコストが大きいだろうし、この手応えあるメカの方がよろしい時もあろうし、これは納得せねばならない点でしょうね。


実際に筆記してみると、本革の手触りがとにかく心に響いてきます。
とても太くて重たい(36gもあります)ので、普通の事務用ボールペンの置き換えとして長時間筆記するには、ちょっと慣れが必要でしょうけれど、使い続けると他のペンでは物足りなくなるんじゃないかなぁという予感がします。

さすがにコスト的にメカニズムまでもが最上級とはいかず、ペン先が若干、ちょっとだけ緩いかな?という気はしますが、問題と言ってしまったら過酷でしょうね。

さらに、本革ペンは、靴や鞄がそうであるように、使っていくうちに必ず質感が変化して行くもので、その経年による変化は劣化ではなく、世界に1つしかない自分だけの味わい深いペンとなるわけで、その先々の楽しみも大きいですね。