APS-Cセンサー搭載のカメラは、高価過ぎて一般には買えなかったフルサイズカメラの過渡期的な存在として誕生しました。だから、あたかもフルサイズよりも格下の存在のように思われる事もあります。
しかし、私は、APS-Cとフルサイズは完全に同格の存在であって、優劣は無いと思います。
あくまでも、用途が違う別カテゴリーの製品というわけです。
たとえば、よく言われる言い方に、「50mmのレンズはAPS-Cでは85mm相当に望遠化してしまう」というのがあります。
確かにそれは正しいのです。が、そうは言っても、私のようにそもそもフルサイズではなくてAPS-Cから一眼レフに入ってきた「生まれも育ちもAPS-C」の人間には、感覚的にはそうではないのです。
「50mmのレンズは、フルサイズでは31mmに広角化してしまう」という言い方が、実際はどうあれ、感覚的に正しいのです。
ネットのみならず、私の身の回りでも、APS-Cはレンズが望遠化してしまうという事が、あたかも劣る点であるように語られます。
しかし、そういう言い方が通用するのであれば、だったらフルサイズはマクロレンズや望遠レンズが広角化してしまうからAPS-Cよりも劣ると言えてしまうのです。
APS-C育ちとしては、50mmレンズはあくまでも50mmであって、決して85mmではないのです。
ここのところが、やっぱり感覚のズレとしてあるんです。
50mmレンズなのに、急に横から85mmだって言われても困る感。
だから、一般的に言われるのとは違って、APS-C育ちがフルサイズカメラを買った時の変化は以下のようになります。
APS-Cのレンズ焦点距離---->フルサイズにした時の感覚
10 | ">----> | 6.3 | mm |
14 | ">----> | 8.8 | mm |
15 | ">----> | 9.4 | mm |
17 | ">----> | 10.6 | mm |
18 | ">----> | 11.3 | mm |
20 | ">----> | 12.5 | mm |
24 | ">----> | 15.0 | mm |
28 | ">----> | 17.5 | mm |
30 | ">----> | 18.8 | mm |
35 | ">----> | 21.9 | mm |
40 | ">----> | 25.0 | mm |
50 | ">----> | 31.3 | mm |
60 | ">----> | 37.5 | mm |
70 | ">----> | 43.8 | mm |
85 | ">----> | 53.1 | mm |
90 | ">----> | 56.3 | mm |
100 | ">----> | 62.5 | mm |
135 | ">----> | 84.4 | mm |
150 | ">----> | 93.8 | mm |
180 | ">----> | 112.5 | mm |
200 | ">----> | 125.0 | mm |
300 | ">----> | 187.5 | mm |
400 | ">----> | 250.0 | mm |
500 | ">----> | 312.5 | mm |
600 | ">----> | 375.0 | mm |
800 | ">----> | 500.0 | mm |
1200 | ">----> | 750.0 | mm |
つまり、フルサイズを買った場合、「10mmの超広角と同じ画角が欲しいなぁ」と思ったら、17mmのレンズを装着すればいいし、「30mmくらいの画角が欲しいなぁ」と思ったら50mmを装着すれば良いのです。
このように、フルサイズは広角に極めて強くなります。
ですが、反面、望遠が非常に弱くなるのがお分かりだと思います。
たとえば、今まで400mmレンズに親しんできたAPS-Cユーザーがフルサイズに買い買えてしまうと、どうなるか。そう、400mmレンズが、たったの250mmにダウンしてしまうわけです。
以上のことから、繰り返して言いたいのは、フルサイズは決してAPS-Cの格上などではなく、カテゴリが違う別製品であるというわけです。
もっとも、EOS 1DとEOS KISSのように、製品そのものの格付けとは別の話なので混同しないようにお願いいたします。
私も、レンズの使い方の幅を広げるという意味で、将来的には安いフルサイズのカメラを購入したいなぁと思っています。