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2009年9月21日月曜日
キヤノンの名玉、EF 20mm F2.8 USMレンズ(1)
キヤノンには、個人的にも名玉だと思う「EF 20mm F2.8 USM」という超広角の単焦点レンズがあります。今回と次回の記事では、このレンズについて書かせて頂きたく思います。
このレンズは、F/2.8の明るさを持つ超広角の大口径の純正レンズの中では、唯一、何とか買えそうな値段を持つ貴重なレンズでもあります。これ以外は全て高級グレードの「Lレンズ」に属します。このレンズ以外の超広角レンズとなると、EF 14mm F2.8L II USMレンズがありますが、その価格は定価ベースで30万円を超えてしまうのです・・・。
(追記)今回のレンズ本体やEOS KISS X2に装着した姿の写真ですが、前回「このレンズを見直す」という記事で、あらためて良さに気づいたEF-S 17-85mm F4-5.6 IS USMレンズを使っています。焦点距離を35mmに合わせて撮影していますが、歪みがほぼゼロで、すっげぇなぁ・・・と軽く衝撃を受けました。EFレンズはスペック以上に実際に使うと良さが分かります・・・。(追記ここまで)
■ EF 20mm F2.8 USMの魅力■
EF 20mm F2.8 USMは、設計の古い超広角レンズなので、逆光がとにかく苦手という明快な弱点を持ちますが、あえてその逆光の弱さを表現として取り入れるのもアリです。
写真の教科書通りに言うと、ゴーストと呼ばれるレンズの反射像などはダメとされますが、写真を観てくださる方の中には、ゴーストがあった方が面白くて良いと言って下さったりします。
偉そうに聞こえたら謝罪しますが、とにかく、写真は、観てくださる方がいて完成するわけです。カメラマンの仕事は写真の半分だけと言っても過言ではないのではないでしょうか。最近本当にそう思います。
EF 20mm F2.8 USMの魅力は、キヤノンの超音波モーター搭載の単焦点レンズ、シリーズ全体に言える事なのですが、優しくて自然なレトロな描写と、色合いに独特の艶があって、頭の固い最新設計のルールブックに縛られない素晴らしい味を持っている事です。
デザインも素晴らしい。キヤノンはカメラ本体のデザインもそうですが、EFレンズも、相手を威圧するようなところが無くて、フレッシュでスマートなデザイン手法に感心させられます。
ボディの小さいEOS KISS X2に装着すると、ちょっと大げさに見えますが、全長が直径よりも短くてコンパクトです。
オートフォーカスは、さすがキヤノン超音波モーターUSMだけあり、極めて高速で静か。
ピント精度は、EOS 20DとEOS KISS X2の両方でパーフェクトと言って良く、安心してオートフォーカスでビシビシ撮影する事が出来るレンズで、まさにキヤノンを選んだ甲斐のあるレンズと言えるでしょう。美しいだけでなく、すこぶる快適でもあります。
写真ですが、渓谷の写真は、あえてEF 20mm F2.8 USMの逆光の弱さを活かしてゴーストを入れ込んでいます。マニュアルモードでの撮影。シャッター速度は1/125秒。絞りはF/5.6です。
牡丹の花もマニュアルモードでの撮影。シャッター速度は1/500秒。絞りは開放F/2.8です。
そう、このレンズは花の撮影にもかなり使えます。
牡丹のような大きな花こそ、まさにこのレンズの得意とするシーン。
近づいても全体が入るし、背景も適度に入れる事が可能なので、花は全体的に写っているものでないと嫌だ!という方にお見せする写真も撮りやすいのです。
なにしろ超広角レンズであるため、ぼけは絶対的に量が少なくてファンタジックな表現は困難ではありますが、F/2.8はそこそこに粘りを見せてくれるのが嬉しい。
EF 20mm F2.8 USMは、数多くのクセを持っているため、手放しでオススメ出来るレンズではありませんが、好きになればとことんハマれるレンズです。