もはや、個人的には、あのICOと肩を並べてゲーム史上最高傑作と言いたい「ザ・ラスト・オブ・アス」ですが、本編クリアの喪失感を味わう暇もなく、サイドストーリーの「残された者」をプレイ、そしてクリアしてしまいました。
ザ・ラスト・オブ・アス本編終了時の喪失感はやはり大きかったけど、「残された者」の存在がそのダメージを緩和してくれました。
これは、クリア後にプレイ推奨で、ストーリーも大きなネタバレになるから触れてはいけないのだけど、とにかくまたエリーの元気な姿が見られた時は嬉しくて目頭が熱くなるほどでした。
あいかわらず、PS4のグラフィックすげぇなこりゃ。
ただ、サイドストーリーだから、ゲームというよりは、PS4のハイエンドグラフィック・モードを多用した、ノベル的な読み物になるのかな?などと思ってましたが、実際は、ガッチリと本編に劣らないゲームになってて、もう飛び上がって喜んでしまいましたよ。
もちろん、ある一定期間の出来事を切り取って描いているため、ロードムービーの側面もあった本編よりボリュームが少ないのは織り込み済みですが。
その分、なかなかホラー寄りの雰囲気な場所があったり、その満足度に手落ちなどはありません。
季節は冬の物語。
雪の上の足跡も、本当にリアルに描画しますね。
単に絵が綺麗というだけでなく、モーションや、空気の感じまで作りこんでいるのは毎回本当に頭が下がる。
ゲームの中に本物の世界を作った(オープンワールドという意味ではない)という意味で、PS4のみならず、ゲーム全体のお手本となるべき作品になってるなぁと。
「残された者」において、プレイヤーが操作するキャラクターは、ジョエルではなくてなんとエリーになります。
本編クリア後を推奨というのは、ストーリーだけの話ではなく、エリーを操作するのに慣れてないと結構きついから!!という配慮もあるのかなぁと。
エリーは、ジャック・バウアーか、最終的にはランボーか!?ってくらい強化可能で強くなる、主人公のジョエルと違い、フィジカル的に脆く、ごり押し戦法はほぼ不可能な、非常にテクニカルなキャラクターであるため、本編でじっくり慣れてないとたちまち「死にゲー」になってしまうかも知れない。
私の場合は、基本的にはまずは隠れまくり。
恐ろしい敵のやつが、とりあえず集団からはぐれたのを見計らって、レンガやビンを投げつけて怯ませておいて、一気にダッシュでしかける・・・というのを基本戦法にしてますです。
ザ・ラスト・オブ・アスは、PS4の表現力も手伝って、コンピュータ・グラフィックスでありながらも、ゲーム中の人物はまるで本物の俳優さんが動いているかのように見えます。
もちろん、ここまで作りこむには、とてつもなく大変な才能と手間が湯水のように必要だけれど、一時映画の世界で言われたように、俳優さんが必要なくなって、声を吹き込む声優さんだけいれば良い時代が来る・・・こともありそうな勢い。
まぁ、そうなるぞ、とかいう話ではなく、そういう勢いがこのゲームから感じられる!という事です。
ジョエル、エリーの声優さんすごすぎ。
終わりたくない、ずっと続けていたなぁと願ってはみたものの、やはりゲームには終わりがやってくるもの(難しくてクリアできないとか、そういうのはノーカウントで)。
残された者、出来るだけ長く遊びたくて、引き伸ばし引き伸ばしでゆっくりプレイしてましたが、あまりの面白さに予定よりもずっと早くクリアしてしまいました。
正直、DLC販売という言葉がありますが、このグレードのサイド・ストーリーなら、4000円くらい払ってもいいからDLC販売して欲しい。
「残された者」をクリアした後、どうしようか・・・と思いましたが、すぐに本編の二回目を始めてしまいました。
プラスでニューゲームというのが気になって。
また一回目と同じくプロローグからスタートしますが、平和な世界が一気に壊れていく寒々とした展開は、やはり飛ばすわけにはいかないから異存はありません。
そういや、主人公はジョエルですが、プレイヤーは最初、実の娘の「サラ」となって平和な世界の終焉を体験するんですよね。
ツイッターではなぜかサラの名前をマリーと間違えてツイートしてしまいました。
私は、予備知識をわざとゼロに近づけてこのゲームをプレイしたので、最初、サラをエリーだと思い込んでスタートしてました。
今にしてみればそんなわけないと笑えますが、いきなりスタートすると、「あれっ、エリーってこういう顔じゃなかったような!?」などと思いつつプレイしてましたっけ。
エリー初登場の場面です。
サラの時代から20年後であり、エリーは生まれながらにして平和な時代というものを知りません。
その切なさも大いなる感情移入の起爆剤の一つになってるかも。
しかし、PS4すごいグラフィックですね。
操作できないところは、パワーのありったけを突っ込んだ(あくまでも現時点において)、ハイエンド・グラフィックになります。
この世界の探索は本当にわくわくします。
もうPS4とプラズマテレビを組み合わせてその前にいると、ゲームというより、テーマパークのアトラクションをそのまま自宅に建築したというくらいのビッグ・スケールな感じになりますよ。
実際、テーマパークと言うけど、PS4ほどの性能と、ノーティドッグの才能に恵まれたら、これらには簡単には太刀打ちできそうもない。
アトラクションと言えば、このゲーム、聞き耳を立てて周囲に敵がいないかどうかを探る機能があります。
その結果、思わぬ近くに、クリーチャーである「感染者」がいた時の恐怖は、まるで毛穴に氷が張るような感覚。
イベントの数々もまさにアトラクション・グレード。
逆さ吊りにされたジョエル、そこに感染者が大量に押し寄せる恐怖!!
こういう処理も、秒間60フレームで、リアルタイムでがんがん処理してしまうPS4と、ノーティドッグのプログラミング技術の高度っぷりには脱帽するしかない。
PS4は、携帯ゲーム機のヴィータもそうだけど、とにかく操作性が良い。
ゲームは優れた操作性も絶対的に必要。
襲撃してくる敵を、まるで自分の体を本当に動かしているかのような優れた操作性で、どんどん戦っていけるのはすばらしい。
そしてこのグレード。
秒間60フレームで、動くときの残像までも処理してるんですよ。
すげーっす。
このゲーム、クリーチャーたる感染者はもちろんですが、人間も恐怖の対象。
逆に、感染者がいなくなったとしても、残る人間のせいで、何も世界は変わらないと思わせる絶望感が世界を覆っています。
言葉は通じるのに、意思の疎通が出来ない人間たち。
野盗なんか、感染者と違い、知能と武装で狡猾に殺しに来ますからどうしようもない。
サバイバルの世界なんで、子供だろうと容赦しない。
華奢なエリーにも、筋骨隆々した大の男が本気で撲殺狙いでかかってくる。
エリー殴られたら、もう怒り大爆発ですよ。
この野盗の目なんか見てください、お前ら人間か(コンピュータ・グラフィックスですが)。
ジョエルとエリーは、長い旅の道中、数々の仲間や協力者を得ますが、結局は二人に戻ってしまう。
世界の中でただ二人。
孤独だけど、本当に信頼出来る、安心できる相手がいる、絶望の中の小さくいけれど強く確かな光がある喜び。
これをしっかりと描けるゲームは名作へ直行すると思うけど、まさにそれ。
あと、PS4のハイエンド・グラフィック映像本当に凄いの一言。
やがてPS5は作られますが、PS4でいいだろと思ってしまう。
だからこその、無理やりな4Kテレビのごり押しなのかな。
ハイビジョンを2Kと呼びなおして、いかにも下に見る風潮は、4Kを作っておかないとPS4で満足されてしまうという危機感か。
そう思うと、私はあまり興味ないけど、業界的には4Kは絶対に必要なんだろうな。
PS4は凄い、PS4は凄いと言いますが、じゃあPS4あれば誰でも作れるのかというと、そんなわけはない。
ノーティドッグの能力に感心させられるばかり。
私がゲームに贈る最大級の賛辞には3つあって、ハードウェアに対しては「X68000の(楽しさと知的探究心)の再来」、ソフトウェアに対しては「ICOに匹敵する」というのと「終わりたくない、クリアしたくない、ずっと続けていたい」というものですが、ザ・ラスト・オブ・アスは、全て贈らせていただきたい。
プレイステーションは、すばらしいゲームの宝の山だけど、その中でもひときわ強く輝くこのゲーム、まだまだ続けて行きたいですね。