個人的に、「ICO」「ラストオブアス」に並んで、歴代ベスト3ゲームに上り詰めた大傑作、ヴィータの「フォトカノKiss」ですが、作中でキャラクターを相手にポートレイト撮影が出来る「フォトセッション」もかなり奥深く、今回の記事ではこれを中心に書かせて頂きたいと思います。
ちなみに、フォトカノKissは、さまざまなキャラクターが出て来ますが、個人的には前代未聞の良キャラ率100%!!
全てがとんでもない良キャラ!という信じられない状態になってて唸らせられる。
今回の記事では、その良キャラの中でも特に「深角(みすみ)さん」にスポットライトを当てて行きます。
このゲームは、写真撮影やカメラについて、本当に開発者さんの愛と高度な知識を感じ、その中でどこまでをゲームに盛り込むか?という割り切りや見極め等のモデル化も本当にお見事。
極力カメラ・シミュレーターのようなガチガチなものは回避し、誰でも楽しく遊べるようにうまく設計されており、カメラ詳しい人には物足りないでしょうが、そう感じるくらいがちょうど良い、天性のひらめきみたいなものを随所に感じます。
絶賛はこれくらいで、写真撮影に話を進めますと、要するに基本はただ自分が好きなようにシャッター切るだけです。
それだけでOKなのですが、設定をいじると色々とプラスアルファがある・・・という感じなんですね。
スタートボタンを押して呼び出せるシステムメニューから、ゲームの設定が色々と変更出来るのですが、その中の項目にカラーフィルターの種類変更、写真をフィルムのように柔らかな感じにするアンチエイリアス設定、ライティングの種類設定があって、ここがプラスアルファの肝です。
ドットバイドットのくっきりした写真じゃなく、ふわっとした、スムージングをかけてややぼやかしたフィルム写真調の仕上がり、そこにセピアのフィルターをかけたりして、好みの写真を撮る事が出来ます。
残念ながら、後からの編集は出来ませんが、そこまで盛り込んだら違うゲームになってしまいそう。
カラーフィルターの種類はかなり多く、昼間でも夕方のような効果が期待できる「サンセット」等はかなり使えそうな印象です。
このゲームは、ストーリーに密接にカメラや自分が撮影した写真がからんで来るので、どんどん意気が上がるんですが、ストーリークリアのために事務的に撮影をこなすだけじゃなく、評価ポイントなども気にせず、せっかくの撮影をどんどん自分だけのものにして楽しんでみましょう。
あと奥深いのは「ライティング」です。
私も、現実の世界で、よくポートレイト撮影を頼まれたりするのですが、ライティング(太陽光の当たり方も)重要過ぎて怖いです。
このゲームは、シミュレーターではないから、現実のような致命感はありません。
ライティングと言っても難しい事は何もなく(そこが良い)、キャラクターにプラスアルファの効果をかけるだけ、と捉えれば良いかなぁと。
ただ、ライトには2種類あって、常に主人公と一緒に移動し、主人公の視点方向にまっすぐに光を当てるハンディライト・・・これは分かりやすい。
問題は、スタンドライトです。
これは、照明を開始したその位置に張り付き、動かない固定光源になります。
この写真は、スタンドライトを上後方から当てて、深角さんを撮影しています。
このゲーム、光源がちゃんと計算されてキャラクターに反映します。
ちなみに、動きはなんと秒間60フレーム。
そんな中で、しっかり計算しているから、かなり大変な処理を頑張ってこなしているように思いますね。
この写真は、下後方からライティングして撮影しています。
深角さんは黒髪ですが、ライティングで髪が紫色に輝き、色々な雰囲気を作り出していく筝が可能です。
場所や時間帯などの環境的な変化、プレイヤーが出来るポーズのお願いや、ライティングの自力コントロール、そして当たり前ですが、撮影の時の自在なアングル、レンズの焦点距離・・・自分だけの写真が色々撮影出来るのが、このゲームをとても奥深いものとしている数多くの要素の一つでしょうね。
ちなみに、レンズの焦点距離は、24mm、35mm、50mm、200mm、400mm(三角ボタンで切り替え可能)始まりのズームレンズで、焦点距離による画質の変化や、レンズ収差とか、そこまでのものは盛り込んでいません。
逆にそういうのを盛り込んでしまったら、とっつきにくい作品になってしまって、あれもないこれもない、カメラゲームとして失敗だみたいなおかしな評価もありえたわけで、自分の作っているものに対する高度な理解と、仕様決定ってのは才能だなぁ・・・というのを思い知らされてしまう。
これは窓側方向からライティングして撮影。
スタンドライトは、別に使わなくとも良いのだけど、使いこなすとより楽しくなるよというのが味噌。
ちなみに、限度はありますが、主人公(自分)は、被写体のキャラクターに「お願い」が出来ます。
これは「あっち向いて」。
顔の方向をカメラから外します。
他にも、「こっち向いて」「目線ちょうだい」「目線はずして」というお願いも可能で、丸ボタンにショートカット割り当てて、撮影しながら丸ボタンでお願いをバンバン繰り出す事が可能です。
これは「目線ちょうだい」です。
ちなみになんで指示ではなくてお願いかというと、どうもキャラクターはAIか何かで生きているように動くところがあって、お願いを全くスルーしたり、主人公への好感度が高い場合(かな??)は、あっち向いてとお願いした時は、ちょっとあっち向いても、すぐにこっちを見てしまう・・・等等、プログラムでガチッとした指示ではないようだからなんです。
もちろん現実の人間のようにはいかないですが、出来る範囲でプログラム頑張っていて、頭が下がります。
あと、キャラクターは決して棒立ちではなく、刻一刻と仕草や表情を変えて行きます。
このため、ある程度で限界は来るものの、一瞬だけ見せる表情を撮る!!というような事も出来て、まるで本当にポートレイト撮影しているかのような感覚が得られます。
ホント、これもヘッドマウントディスプレイじゃなくてもVRの一種なんじゃないか?と思えてしまうほど。
ちなみに、秒間30フレームにしてもっと画質をリッチにする・・・という方向もあったと思うんですが、現実のカメラと同じように、ファインダーの追従性を重視して、秒間60フレームの動きにこだわっているのも、あり!!うん、あり。
ちなみに、自分が作中で撮った写真は、別途、手動でメニューからヴィータの汎用JPEG画像ファイルに変換できます。
作品の中でとは言え、自分が撮影した写真を壁紙に出来るのも楽しい。
ちなみに、ヴィータって、アイコンを所せましと全部並べるのも良いですが、一画面6個と少な目にして、あとは画面切り替えで対応するとより使いやすい気がする。
それと、このゲームは、ストーリーも音楽も本当に秀逸。
簡単なリズムゲームも楽しい。
他のキャラクターだと、何回やっても最高得点の1000点行かないのに、あるキャラだとあっさり1000点行って、自分の内心の好感度が計れるとかそういう楽しみ方もあります。
とにかく、このゲームは確かに万人受けはしないタイプなんですが、個人的には、歴代ベスト3に入れたくらいだから当たり前だけど、大傑作中の大傑作ゲームです。
続編とかは欲しいけど、これを超えるのは難しいような気もするし、どうなんだろう。