今回は、3CCDビデオカメラの
NV-DJ100と、
NV-GS200K、そして、参考までにソニーの初代手のひらサイズハイビジョンカメラの
HDR-HC3の映像を比べてみました。
決して厳密な検証ではないので、気軽に読んでいただければと思います。
■NV-DJ100あらゆる場面で
映像が自然の一言。デジタル補正の影が全くさしておらず、まさに古き良き時代のカメラそのもの。はっきり言って
めちゃくちゃ貴重品。
大型カメラと比較すればまだまだでも、
感度の高さは抜群で、明るい場所では感度が高すぎて困るほど。減光フィルター(要するにレンズにかぶせるサングラス)を付けないと、絞りが極端に絞られて解像力低下を起こしがち。でも、
元々解像力が低いカメラなので、今さら気にしないという考えもある
かも・・・。
スペック上の被写体最低照度は15 Luxなのですが、スペック上12 Luxと書かれて上回っているはずのNV-GS200Kよりも、実は2倍くらい明るく写せるだろコレっていうのが大きなポイント。
NV-DJ100の時代はともかく、
近年の小型機の最低被写体照度は、ライバルメーカーへの牽制球の意味あいが強い気がします。
変なケンカしないで下さい。
また、マニュアル撮影の操作性やファインダーに接眼する心地良さは、NV-DJ100が、当時から高性能機として設計された事が大きいのですが、やはりNV-GS200KとソニーHDR-HC3とは比較の対象にならないです。
完全に別次元。
その意味でも、NV-DJ100は、本当に素晴らしいカメラだと言えますが、
12年前のカメラがやっぱり最高というのは、どうしても複雑な心境であることも確か。
■NV-GS200Kこのカメラは、まず、最初に、単純な画質だけで言ってしまうと、
NV-DJ100にはさすがに及ばないと言えます。
確かにNV-DJ100よりも物理的な画素数が多く、ディテールがより出ているのではありますが、
情報量が多いという感覚よりも、輪郭強調のデジタル補正によってエッジが立っているだけに見えてしまう画像処理やや残念。
1/6インチという小さいサイズがとにかく
感度不足。このため、NV-DJ100と比較してしまうと、色の階調が不足気味でやや平坦な感じを受けます。
暗さに極端に弱いのも再認識です・・・
などと、このブログでは悪い点を強調する意味の
赤文字連発ですが、NV-GS200Kは、
手のひらに乗る小型カメラとして考えると、かなり頑張っているのは紛れも無い事実。
小さいとはいえ、3CCDの威力が良く出ていて、色もかなり元気に乗って来ます。
特に色にパンチがあるので、一般的に最も好ましい場面が多いカメラになるかも知れません。
バッグに入れて持ち歩くのに苦にならない小さいボディだし、
可愛らしくデフォルメされた業務機といった趣のデザインもかなり良いので、日常の使用には一番適しているかも知れません。
ソフト素材のグリップや高級感のある塗装など、小さい高級機と言っても良い外観の良さはとにかく必見であります。
また、操作性や機能の面では、
マニュアル操作は一通り可能なんです。シャッター速度や絞りも自分で変えていけます。ただし、どうして
押すたびにカメラに衝撃を与えるカーソルキーでこれらを設定するように作ったのか意味が分からない点が残念。NV-DJ100のように、
絞りだけでもダイヤルで設定できたらどんなにか良かったかと思います。
どのカメラも、フルオート撮影だと色や明るさがどうみてもおかしくなる場合があり、マニュアルでの調整は避けられません。なのに、
メーカーがまるでマニュアル調整を妨害するかのような作りをしているビデオカメラは、クラスがどうとか言う以前に使っていて困るのは確か。
もちろん、NV-DJ100を使った後に持ち代えると感動さえする小ささ、取り回しの良さ、SDカードへの静止画と
320x240ドットの15フレーム動画記録(後からテープから切り出しも可能!)など、メモリカードを活用した処理全般は、NV-DJ100の時代には無かった大きなアドバンテージであるため、大変便利に使わせてもらっています。
■(参考)ハイビジョンカメラのHDR-HC3参考までに、ソニーの初代手のひらサイズハイビジョンカメラ「HDR-HC3」の画質とも比べてみました。
このカメラは、テープの映像を見ながら、メモリカードに1440x810ドットの静止画が切り出せる機能がありますので、それを使って切り出した映像を、NV-DJ100とNV-GS200Kと同じ、縦480ドットに揃えて掲載しました。HDR-HC3は、
ハイビジョンカメラとしては解像度が低い部類で、特にレンズはフォーマットに対して力不足なのではありますが、
さすがにハイビジョンカメラだけあって、いちいち言うまでもねーだろって言われるかも知れませんけれど、ディテール、情報量はNV-DJ100を完全に圧倒しています。いくらNV-DJ100が名機と言われていたとしても、ハイビジョンは相手が違うと言わざるを得ません。
ただ、これはあくまでもフォーマットの違いで、最初から予想出来ていました。
HDR-HC3で感心するのは、
単に解像力があるというだけではなくて、色の再現力や、階調の豊かさが、NV-DJ100に負けていないという点です。
ソニーは
なんで小型機で3CCDを作らないんだろう?と思っていましたが、HDR-HC3を見ていると、
なるほど、1CMOSで十分だと判断したんだな、と勝手に納得してしまいそうになります。
むしろ、3CCDよりも実物に忠実な部分もあって、時代が変わっている事を思い知らされます。
もっとも、まだまだHDR-HC3は、ハイビジョンカメラとしては力不足な部分が見受けられ、ハイビジョン・フォーマットの実力の片鱗を見せているに過ぎないのです。
ハイビジョンフォーマットのカメラは、進化の余地が広大であり、今後の楽しみが尽きません。
HDR-HC3のマニュアル操作は、かなり特殊。シャッター速度や絞りのコントロールを直接コントロールする事は不可能で、ユーザーは、あくまでも「明るさ」を変化させる事しか出来ません。
良いか悪いかという言い方は難しく、
なるほど分かりやすく使いやすいな、と思う局面も多いのは確か。
何を差し置いても、
ヒストグラムとゼブラパターンを同時表示可能なので、それを見ながら、カメラコントロールダイヤルで明るさを変化させるのは気持ち良いほどです。
ただ、シャッター速度や絞り値の直接コントロールを直接コントロールする道を断絶させるほど、そこまで強い意志をここに投入すべきなのだろうか?という疑問は残ります。
ソニーもパナソニックも、譲らないガンコさを持っているがゆえに、日本がこの厳しい世界の中で戦い抜く原動力となっていると思うのですが、それが一回敵に回ると心底怖いなと思わされますね。
ちなみに、暗い場所での撮影に関しては、
ソニーには伝統のナイトショットが搭載されています。
これは、赤外線を使って完全な闇の中でも映像を撮影できる機能で、たとえば、災害時に闇に閉ざされた時でも視界を確保出来るため、懐中電灯の隣においておくとイザという時に役立つかも知れません。
最後に、親しい人に今回の比較映像を見てもらったところ、
一番の好印象はNV-DJ100でした。
ただ、バラの花の比較はNV-GS200Kが一番だそうで、
「場面に応じて、良いものは変わる。これが絶対に一番だというものはない」だそうです。
なるほど・・・。