時を超えて愛される「主人公級」レンズ
今や伝説的とさえ言える名レンズの中の名レンズ、***「EF 50mm F1.4 USM」***。
このレンズ、実は1993年に発売された非常に息の長いモデルなんです。さすがに今はRF 50mm F1.4Lなどに道を譲っているけれど、それは商業の話。
個人的には私が写真を始めるはるかずっと以前、30年以上も愛され続けているレンズなんて、まさに「主人公級」の風格ですわいな。
昔は、キヤノンの高性能デジタル一眼レフが発表されると、必ずと言っていいほど、このレンズがセットで製品写真に収まっていました。写真を始めたのは、このレンズが登場して相当の年数が経過してからの私ですが、その私にとっても、キヤノンのカメラに憧れるということは、このEF 50mm F1.4 USMを装着した精悍な姿に憧れることと同義でした。
今でも、圧倒的なルックスの良さを持つEF 50 1.4。
「是非ともこのレンズを付けて歩きたいな」と思ってしまうほどの魔力を持っています。✨
世代を超えるライフサイクルの凄み
このEF 50mm F1.4 USMもそうなのですが、全般的に言って、フィルム時代のレンズは、本当にライフサイクルが長いです。人間が生まれてから成人し、次の世代を育て始めるほどの長い年月、同じモデルが「最新の現役」として売られ続けているのです。これは、数年で型落ちしてしまう今の電子機器とは全く異なる、高級家具や仕立ての良い服のような存在感です。
ネットで「このレンズが欲しい!」と熱を振るまいていたら、ベテランの方から「ああ、そのレンズ懐かしいな。10年前に結婚する時に手放したけど、また買おうかな」なんて返信が来ることも珍しくありません。一撃でこちらの物欲を粉砕するような、凄まじい「歴史のパワーボム」を食らってしまうのも、この界隈ならではの醍醐味ですね。😊
他にもEF 20mm F2.8 USMやEF 28mm F2.8など、どうしてこんなに長寿命なんだろうと驚かされるレンズがたくさんありました。
EOS Kiss Mとの邂逅:AFの「癖」
そんな伝説のレンズを、今回はミラーレスの***EOS Kiss M***に装着して撮影してみました。
もちろん、マウントアダプターを介しての装着になりますが、フィルム時代の一眼レフに最適化されたレンズゆえ、最新のミラーレス機と「完全適合」とはいきません。
事実として、EOS Kiss MのAF性能とは少し相性の難しさがあります。特にピントが大きく外れた「大デフォーカス」の状態からは、AFがスーッと合うことはまずありません。このレンズに採用されている「マイクロUSM」は、今のナノUSMなどと比べると少し繊細な仕組み(実はAF駆動部が少しデリケートだったりします)なのも影響しているのかもしれません。
そのため、まずはフォーカスリングを自分の手で回して、大まかにピントが合う位置まで補正してあげます。そこからシャッターを半押しして、最後の緻密なピント合わせをAFに任せる……。まるでマニュアル車を操るような「セミオート」の感覚。これがまた、自分で写真を撮っているという実感を強めてくれて、心地よい不便さなんです。
F1.4が描き出す「収差の芸術」
今回は思い切って、全て絞り開放の「F1.4」だけで撮ってみました。
どうでしょう、この美しい収差の広がり。今の最新設計レンズなら「欠点」として排除されてしまうような滲みやボケの癖が、まるで絵画のような芸術的な味わいを生み出していると思いませんか?
今はデジタルの画像処理が進化し、どんな収差も「納品用グラビア」のような完璧な画質へ補正できてしまいます。しかし、だからこそ逆説的に、光学設計そのものが生み出す「えもいわれぬ味」に、大きな価値が生まれていると感じるのです。
どんな時でもこの収差が必要なわけではありませんが、ここぞという時の表現手段として、このレンズが持つ豊かな表情は本当に貴重なものです。
皆さんの防湿庫にも、そんな「自分だけの伝説のレンズ」が眠っていませんか?
それではまた次の記事でお会いしましょう!!



































