先日発表された、キヤノンPowerShot G1X Mark3。
個人的には、1インチセンサーとAPS-Cセンサーカメラが大好きという事もあり、その両方の美点を見事に獲得したG1X3はときめきの塊でもあり、仮に期待してはいけない!!などと言われても、ものともせずに期待してしまいます。
まだ実物も触っていないけれど、全く心配なし、もろ手を挙げて全面的に大期待です。
■なぜ全く心配ないのか!?
えっ・・・!? いくらAPS-Cカメラが大好きと言っても、コンパクトボディにAPS-Cセンサーを搭載する、そんな言わばトリッキーとも表現し得るG1X Mark3に対して、しかも実物もまだ触らないうちから、ここまで安心して大期待をかけるのは早いのではないか?
そう思われるかも知れませんが、その心配は殆どないのです。
このカメラには、個人的に、本格派のコンパクトカメラではベストではないか、と大絶賛を惜しまない「PowerShot G5X」という優れたベースがあるからです!!
今回の記事では、このG5Xをもとにして、G1X Mark3への期待をさらに高めて行きたいと思います。
今回の記事は、どうもPowerShot G1X Mark3への期待感を高めつつ、PowerShot G5Xの良さを再確認する、という流れにもなりますが、このG5X本当に文句なしに素晴らしい。
一眼レフや、独特の画期的な操作性を実現したPowerShot G9X系を別格とすれば、ベストの王座にふっかりと腰をかけても許されるカメラ・・・そこまで言いたくなるくらいの決定打。
フィーリングも極上の前面ダイヤルと、レンズ周りのコントロールリング、片手操作時に役立つ背面ホイール、「今後のモデルでもずっと続いたら良いのに」と強く願っていた、これらが生み出す笑顔の操作性・・・なんとG1X Mark3はこれをしっかり継承してくれたわけなんです!!
言わば「変わったタイプの製品」なのに、それをものともせず、既に盤石の安心感が漂っているんですよ!!
盤石とは言いましたが、確かにより厳密に言ってしまえば、ダイヤルやリングの操作フィーリングが完全に同一とは限らない、何か変なフィーリングに変わっているのではないか?という気がかりはありますが、まぁ可能性的にはあるかも、というだけの話。
なんせ、同一年(2017)発売のG9X Mark2もバッチリバリバリ極めて素晴らしいし、むしろ、大丈夫ではないと思う方が難しいくらいだゼーット!
■安心感を加速するバリアングル液晶!!
好みの問題はあるとしても、それはあえて置いておいて、G1X Mark3でもバリアングル液晶が採用された事はまさに安心感を加速するグッド・ジョブです!!
まず、バリアングル液晶ならではとして、液晶を完全に封印する事が出来る!!
もはや液晶の汚損を全く気にする必要がなくなり、腕時計で言えばカシオが誇る最高の腕時計G-SHOCKシリーズ・・・は言い過ぎですが、あのようなストレスフリー心ウキウキ。
さらに、もっと押し進めて懐かしのフィルムカメラのような気分ですら撮る事も可能。
もっと言えば、この小さな体でもって、有機ELファインダーが大きな特長でもあるG5X(G1X3)は、ファインダーに接眼するとどうしてもカメラ背面全体が顔面にべたりと張り付く形になります。
この段階においては、液晶を裏返して、さらさらで汚れもつきにくい樹脂面を顔に当てられるメリットは超特大。
実用面で言えば、バリアングルは縦の構図でも液晶を動かせる!
というか、バリアングルでなければ、縦構図では液晶を動かせない。
可動液晶というのは、どんな方式であっても、小型化を犠牲にさせられるもの。
特にコンパクトタイプにおいては「途方もない犠牲」と言っても大袈裟にならないものを差し出しているのに、縦構図では動きません、では薄ら哀しい。
さらにバリアングル液晶の地味なメリットとして、液晶ユニットそのものが「持ち手、グリップになる(時もある)」というのは、意外と知られざるところ。
無茶な体勢での撮影に、まぁ破損の危険性があるからほどほどなんですが、液晶を掴む事で安定性を確保しやすいという事は実際に過去何度かありました。
三脚での撮影なんかは、もはやバリアングル液晶以外は考えられないくらいの自由度。
確かにいちいち横に展開してくるバリアングル液晶にイラつく局面もあるでしょう。
何でも都合よいものは無い・・・その中でベストを追求出来る方式だと思います。
■G1X3を考えつつ、G5Xで雨の中撮影してみる
G1X3を考えつつ、G5Xで雨の中を撮影してみました。
APS-C換算で15-63mm F1.8-2.8という大口径ズームレンズを搭載するG5X。
ただしこれは1インチセンサーだから許されたレンズであり、センサーが巨大化し、巨大化ゆえの不便さを被ってしまうG1X3は、15-45mm F2.8-5.6の、広角側のみ大口径ズーム。
ただ、G5X並みの小さなボディなのに、APS-Cセンサー搭載で、なおかつこのレンズを搭載出来るのは大変な事です。
望遠側でF5.6というのは十分です。
G1X Mark3で、圧倒的なアドバンテージになるのは、実はAPS-Cセンサーだから・・・というものではありません。
APS-Cならではの高感度の強さというのはあるけど、そんなん普段から発揮出来んのかというとそうでもない。
もともと、G5Xが搭載するソニー製1インチセンサーの画質は文句なし。
やっぱりAFなんですよね!!
実際に撮ってみると、G5Xが搭載する「コントラスト方式AF」は、特にキヤノンのそれは挙動が原始的で、被写体が背景よりもハッキリしないと、ピントが背景に合ったまま回復困難・・・という状況が結構出てきます。
この雨の中の萩を撮影した写真ですが、AFでは合いにくく、MFで撮影しています。
これはG5Xへの批判ではなく、単純にカメラマンがAF特性を理解していれば良いだけの話ですが、G1X Mark3は、これをより気楽に使えるように進化させた「デュアルピクセルCMOS AF」という、ミラーレスの決定版と言うべき技術を採用しています。
デュアルピクセルCMOS AFはスゲーですよ。
光学AFでぶっちぎり最強クラスAFを備えるあのEOS 7D Mark2を持ち出してすらも、デュアルピクセルCMOS AF・・・長いので以降はDPAFと短縮させて頂きますが、このDPAFのお陰で、それなりに液晶でも撮影する意欲が出ますもん。
それと、雨の中でも、顔面にびたっと張り付けて省スペースで撮れるから傘だけでもそれなりに安心。
G1X Mark3は、G5Xよりは若干大きいものの、ほぼ同じ。
同じ美点が共有できる上に、なんとG5Xでは実現できていない「防塵防滴」構造になっとるんですねぇー!!
ダブルで安心ですな。
バリアングル液晶も、防塵防滴構造により、雨の中での自由度はかなり上がると思われます。
ただ、防水のXperia等の感覚で錯覚してしまうと危険なんで、感覚的にはG5Xを扱うようにしておきゃあ絶対に安心です。
G5Xは撮影していてとても楽しい!!
G1X Mark3も変わらず、いやもっと楽しいかも知れない。
レンズ特性、1インチセンサーが誇る深いピント範囲との差など、慣れないといけない点も多々あるとは言え。
あと、これはG5Xで直面した、ちょっとした、それも個人的な心のもちようの問題なんですが、あえて書かせて頂きます。
なにしろバリッバリに本格的な操作性を持つカメラゆえに、どうしても最高峰に君臨する一眼レフカメラと比較してしまいがちなんですよね。
性能や画質じゃなくて、フィーリング面です。
フィーリング・・・そう、日本が誇る精緻な機械と光学技術が生み出す工業の芸術品一眼レフ・・・全く存在する次元が違う美しいフィーリング・・・これと比べてしまうと機械構造が全然簡略なミラーレスカメラは宿命的に淡泊。
この淡泊さの壁とどう折り合いをつけるか、単なる個人的な問題かも知れないですが、心配な点は主にここかな?
逆にPowerShot G9X Mark2は、比類なき圧倒的な小ささゆえに、逆に淡泊さはメリットに転じていましたが、G5XとG1X Mark3のような、「夢の本格派なのに小型版」ゆえの贅沢な悩みとでも言ったら良いでしょうか。
とにかく、G5Xという「基礎」を持ちさらに進化させたG1X Mark3・・・大期待です。