実は我が家には秘蔵の筆記具がいくつかあるのですが、今まではブログに書かないようにして来ました。
実用もしてなかったのですが、このまま塩漬けにしていていいのか?という想いがあり、いよいよ仕事でも使い始め、合わせてブログにも書かせていただくことにしました。
ちなみに、螺鈿とは「らでん」と読みます。
あわびや白蝶貝などの真珠質部分を削って配置する伝統工芸の手法を用いたもので、説明不要の高級品だけが持つ霊力を存分に浴び楽しむ事ができます。
まさに実用する美術品「螺鈿」の美
↑私は筆記具に対して特別な敬意をもっておりまして、特に、華美を競う製品については、最大級の賛辞として「実用する美術品」と呼んでおります。プラチナ万年筆が誇る3機能筆記具「MWBA8000 螺鈿」は、私の想いが端的に伝わると確信する、まさに霊力を感じるほどの逸品です。
この世のものとは思えないその美の前には、この手で触れるのさえ畏れ多く、指紋すらつけないように大切に保管していましたが、いやちょっと待てよ。
本来ガンガン使われなければ筆記具は浮かばれないもの。
実用する美術品という賛辞を自ら贈り、それと反する事をしてはいけない。
↑ついに、単なる美術品から脱却し、仕事でも使用開始し「実用する美術品」にステージアップを果たした、MWBA8000螺鈿。
とは言え、クリーナーを同梱した箱ごと持ち歩き、汚れたらすぐにクリーンアップするようには最低限しています。
自分だけの模様、世界で唯一無二の螺鈿ペン軸
↑高級筆記具において、螺鈿に限らないのですが、素材が人間の指紋のように全て異なるものとなる上に、熟練した職人技によるその時々の采配があるため、この手の高級品は全てが世界で唯一のものとなります。まさに「世界でひとつだけの花」なのです。
このあたりは、均一のものでなければならない家電製品などとは大きく感覚が異なるものであり、消費者側にも理解が必要な部分であります。
↑さらに、螺鈿にのみ注目してしまうのは無理からぬ事ではありますが、このペンには、高級品ならではのもう一つの見どころがあります。
それは、このシルバーの輝きですが、一般的なクロームではなく、貴金属、元素番号45番「ロジウム」がコーティングされています。
ロジウム・プレーティングというもので、輝きの深みが全く異なるものの、ぱっと見はクロームと区別がつくか?と言われるとそうでもないので、普通はそこは「分からないからいいやクロームで」となるところ、そうはさせないのが、品格というものなのです。
ちなみに、貴金属というと、一般的には「金・銀・プラチナ」のたったの3種類しか知られていないと思いますが、貴金属元素は8種類もあり、すなわち、この螺鈿ペンで使われている「ロジウム」、万年筆のペン先にも使われる硬い貴金属「イリジウム」や「オスミウム」、ロジウムと同じように宝飾品にも使われやすい「ルテニウム」、銀歯にも使われる「パラジウム」です。
高級筆記具は、普通なら高額過ぎて手が出ない、このような貴金属類や希少な素材を比較的楽しめる美術館の役割も果たしており、人生を豊かにする早道だと確信しています。
↑ペン尻方向からの景観です。
仕事で疲れた時でも、このペンを眺めれば、たちまち癒されてさらなる活力につながります。
↑このペンは、3機能というその名前の通り、0.5mmメカニカルペンシル(シャープペンシル)、0.7mm 黒ボールペン、0.7mm 赤ボールペンに切り替えられるため、実用度の高さはもう何をかいわんやです。
しかしながら、一つだけ、評価が2つに割れるであろうポイントがあります。
このペンは、ありていに言えば、3機能切替メカニズムそのものは普及タイプのものと変わりません。
切り替える際にガチャガチャと音がするタイプと言えばわかって頂けるかと思いますが、さすがに、音にまで拘るゼブラ社のシャーボXプレミアムあたりと互角を念頭に置いて操作すれば不利ではあります。
とは言え、その事と引き換えに、本体価格を手ごろなものに抑制できているので、個人的には欠点としてあげつらう事は出来ません。
このあたりは、製品の性格上、とても大きな需要があると思われる「贈答品」と考えた時、どうするのか、あなた様におまかせするとしか言いようがありません。
↑これほどの煌めきを持つペンを、さらに手ごろな価格で供給しようというプラチナ万年筆の判断は、まさに英断。
感動とはこういう事を言うのだと思います。