2018年9月1日土曜日

大口径ズームレンズ搭載なのに超小型ミラーレスカメラ「PowerShot G5X」の設定を今一度詰め直す

いよいよキヤノンもフルサイズミラーレスを出すため動きを活発化させていますが、そんな中でも、やはり、変わらずに高い価値あるミラーレスカメラ「PowerShot G5X」。


手のひらサイズでありながらも、APS-C換算で15-63mm F1.8-2.8という大口径ズームレンズを内蔵し、一眼レフもかくやという快適な操作性を兼ね備えているのはあまりにも大きい。

そのG5Xをより快適に使い続けるため、今回の記事では、その設定などを詰め直してみたいと思います。


小さい・軽い・本格操作性・ぐっと来る高級感、これらが一挙に得られるPowerShot Gシリーズ。

その中でも、このG5Xと、さらにビッグセンサーAPS-C搭載版のPowerShot G1X Mark3はやはり特別です。


今でこそ、キヤノンのミラーレスカメラの象徴となっている、ソニー製の有機ELファインダー(EVF)ですが、デザインの確立も併せて初号機はこのPowerShot G5Xと言えます。

初号機ならではの試行錯誤もあり、このEVF、最初はなんと30Pとなっていて表示がガタガタしてしまいます。

設定で60Pにしないといけません。

現在出荷されているモデルは分からないのですが、発売日バージョンは30Pで出荷および店頭デモしていたため、PowerShot G5XのEVF表示はガタガタであると誤解している方もいらっしゃいましたね。

最初から60Pにしていない理由が分からなかったです。

その上の120Pにも出来るのですが、その代償として表示がギザギザになってしまうのでなかなか選びにくいところ。


設定で超重要なのは、何と言っても操作性のカスタマイズです。

私は常時マニュアルモードで運用しているため、以下の設定にしています。

・背面のサムグリップの録画ボタンを「親指AFボタン」に

・背面の電子ダイヤルを「ISO感度」に

・レンズ周りのコンロトールリングを「絞り」に

・前面電子ダイヤルを「シャッター速度」に


前面電子ダイヤルをシャッター速度、レンズ周りのコンロトールリングを絞りに設定すると、両手での操作が必須になるものの、超小型カメラの範疇を遥かに超える快適な操作性に惚れ惚れします。

しかも、どちらのダイヤルのフィーリングも、ほどよく小気味良い手応えがあり、これ以上やりようがあるのか?と思うくらい快適。

どれくらい惚れたかというと、今もって、意味なくダイヤルをカカカカカと回したくなってしまうくらいです。

PowerShot G5Xは、当初、お店に見に行った時に、(当時)あまりに高額で予算オーバーだったために、見るだけ~で帰ろうかな?と思っていたのに、有り得ない事が起きてしまったくらいジャストフィット操作性。

大ショックを受けて汗びっしょり、まさかのそのまま買って帰る事になったわけです。


さらに、サムグリップに装備された録画ボタン。

これは親指AFボタンにしているのですが、このベストな位置たるやどうですか!?

むしろ、最初からEOS 7Dのように「AF-ON」ボタンとして提供してもらっても良いくらい。

ちなみに、動画モードにすると、ちゃんと何もしなくとも録画ボタンとしての機能が復帰するのがポイント高いところです。

それと、背面電子ダイヤルはISO感度にすると良いかなぁと。

EOS 7D Mark2だと、「SETボタンを押しながら背面サブ電子(すみません、間違えました。メイン電子ダイヤルです)ダイヤルを回すとISO感度を変更出来る」ように設定出来るのですが、それと同じ感覚で使えます。

ノイズに何の心配もないISO感度125, 160, 200の3つあたりを、ちょちょいのちょいと素早く変更出来るだけでも快適度数にブーストがかかりますね。

ここまでやると、PowerShot G5Xの操作性は一眼レフにも全く遜色ないどころか、ちょっと超える場面すらあるほどです。


AFは、色々と悩ましいところですが、1点にしています。

多点方式は、本気でやるのだったら、EOS 7Dくらいの精度と制御能力が必要だと思うので、失敗をカメラのせいにしたくない事もあり、中央1点方式にしています。

PowerShot G1X Mark3だと、背面液晶をタッチパッドにして、指で直接フレームを移動させる事も可能なのですが、G5Xには残念ながらその機能は搭載されていないのです。

PowerShot G5Xは、実はキヤノンの歴史の中では重要なポイントに立つ機種なんです。

キヤノンのPowerShot Gを、コンパクトカメラとして区別するのをやめて、「EOSとの統合」に舵を切った走りとなった機種なので、まだまだ試行錯誤している点も残されており、それは欠点とかではなくて、歴史博物館的な価値があると思いまする。


バリアングル液晶はやはりとても便利。

それだけでなく、液晶を閉じると、液晶に囚われないフィルムカメラ的なスタイルでの運用も可能です。

この、「フィルムカメラスタイル」は、レンズ交換式ミラーレスカメラ「EOS KISS M」でも継承され、液晶背面が革調のラバーで覆われ、シックなスタイリングを実現しています。

PowerShot G5Xは、ただの一機種ではなく、以降のキヤノンカメラスタイルに多大な影響を与えた存在感あるカメラとなっているのが分かります。


バリアングル液晶は、ただ液晶が動くだけでなく、不安定な体勢で撮影する時に、(あまり派手にやると破損するからおすすめではありませんが)液晶そのものがグリップ・ハンドルとなって、快適な撮影をサポートしてくれる時があります。

このグリップ・ハンドル化は、地味に大きな武器ともなる時がありますね。


■追記

■「無音」というアドバンテージ

PowerShot G5Xを購入させて頂いてからかなりの期間、私がG5Xについて言っていたのが「撮る手応えがない淡泊な反応」でした。

一眼レフは、機械的なミラー制御が存在するがゆえ、その振動や手応えが、ダイレクトに「撮った手応え」として撮影者に伝わる美点があります。

EOS KISS X7など、小さくともそういった手応えを持ったカメラを使った後だと、「小さいけど物足りない」と感じたのは事実です。

しかし!! 淡泊さの原因を突き詰めていくと、偽物のシャッター音を響かせるスピーカーにあるのではないか?という思いが出て来て、サウンドの出力をやめ、サウンドをカットしたところ、淡泊さが静粛性として立ち上がり逆に大きなアドバンテージになって来ました。

物足りないというのは、厳然として残存はするのですが、無音となると話が違ってきます。

PowerShot G5Xは、ある意味「EOSとPowerShot Gの統合の過渡期」のカメラでもあり、処理速度等に牧歌的な所を残してはいますが、それは逆に言えば、まだまだカメラマンの腕が介在する余地を広く残しているとも言え、喜ばしい点ではありますまいか?

最後に、PowerShot G5Xで撮影した雨の中の町歩き写真を掲載させて頂きたいと思います。