2012年7月14日土曜日

雨の中、EOS 7DのEOSムービーを見直す(実写編)

今回の記事は、前回の「出発編」の続き、「実写編」です。
引き続きよろしくお願いいたします。

久しぶりに、テスト撮影ではなくて、本格的にEOS 7DのEOSムービー撮影を再開しました。

EF 40mm F2.8 STM、EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM、シグマAPO MACRO SUPER II 70-300mm F4-5.6レンズの三本を使って、雨の降る秋保大滝の滝壺エリアでの撮影を行いました。

■EOSムービーで大活躍のシグマ70-300mmレンズ■


シグマAPO MACRO SUPER II 70-300mm F4-5.6レンズといえば、新品でも1万円台で叩き売られていた「安ズームレンズ」という事になるんですが、EOSムービーではかなりのスター(個人的)になっています。

AFが弱いとか、手ぶれ補正が無いという弱みは、三脚に据えてジックリとマニュアルフォーカスで撮影するタイプのEOSムービーにおいては全く問題ではなくなります。
それどころか、軽量で安価な素敵レンズで良いことづくめ。
発色もナチュラルで見疲れせず、ハイビジョンにはかなり適したレンズに大躍進してくれるわけです。

■視聴はハーフHDプラズマTH-P37X1■


EOSムービーの視聴は、ハーフHDのプラズマテレビ「パナソニック ビエラTH-P37X1」で行いました。
人様をお呼びして家族と共に視聴。
前回の記事にも書かせて頂きましたが、私の撮影内容の良し悪しは置いておいて、EOSムービーの画質そのものは「まさに映画級」という好評っぷりでした。

ここから先は、全て実際に撮影したEOSムービーから切り出した静止画を、PSVITA(プレイステーション・ヴィータ)の有機ELモニタの解像度に合わせたサイズ(960x540[実際は544])にて掲載させて頂きます。

■30pと24pと60pの競演■


EOS 7Dは、その極めて優秀な処理速度と操作性で、同じシーンを手軽に迅速に違う設定に切り替えてドンドン撮影する事が可能です。
その勢いでもって、今回は、全てのシーンを1080/30pと720/60pで撮影してみました。
いくつかのシーンは、従来ほぼ使わなかった1080/24pでも撮影してみました。
通常のシャッター速度は1/60秒ですが、24pの時だけは1/50秒にしています。

1080/24pは、動きが目立ってドラマチックになるため、自然風景の撮影では、ちょっと「わざとらしくて使いにくい」印象のモードではありますが、逆に、その印象的な動きによって、なめらかな60pではスルーされそうなシーンであっても、視聴者の意識を引き止めてくれる効果も期待できそうですね。

話は前後しますが、720/60pの場合は、動きは普通のビデオのように生々しく滑らかですが、それだけに、皆さん見慣れていらっしゃるわけで、一番スルーされやすいモードでもあるかな?
1080/30pと比べると、720/60pは、さすがに細部の描写が甘くてドットが見えてしまう場合もあるんですが、同一シーンを撮り比べたりしなければ目立たないかも。

■追記■
EOSムービーの画質パラメータですが、基本的にEOS独特の「ピクチャースタイル」をいじって適用させる、というスタイルになっています。
発色は、映像を見疲れしないために自然な発色が必要なので「忠実設定」にしています。
シャープネスは+5、コントラストは-3、色の濃さは+1、色合いは0。
それにつけても、EOSムービーの画質は「これが家庭用の個人に提供されて本当良いのか?」と心配になる程の高品質です。
最近はやたらと次の「4K規格」が騒がれますが、なるほど、これ以上の新しい映像価値を生み出す為には4K規格に走らざるを得ないのかも知れないですね・・・確かにこれは。


■難所に強いEOSムービー■


EOSムービーは、とにかく難所に強いですね。
早朝の山奥の自然風景撮影なんて、苛烈なまでの明暗差が押し寄せる高難易度シーン実戦現場であります。
しかしEOS 7Dはものともしない。
圧巻なのが、「とにかく明るけりゃ高感度っぽくてOK」って、一つ覚え的な表現力じゃなくて、その場の「暗さ」を決して殺さない表現が可能な点。
暗いんだけど見える、という微妙なラインに乗せられるわけです。

やっぱり7Dはすげぇなぁ・・・と。

■好きなシーンを好きなように撮影出来る喜び■


大型カメラの購入に未練があるから、EOS 7Dでの撮影がだめなら、それを言い訳にして購入に踏み切っても良いかなぁ・・・などと考えておりましたが、とんでもない。

EOS 7Dは、百万円クラスとかの業務機や、超高性能タイプの大型ハイビジョンカメラ等、三脚に据えてジックリと撮影するのが前提のカメラが相手なら、一歩も引かない強靭な魅力に守られています。

実際に、三脚に据えて腰を据えて撮影して良いなら、写真機としてだけでなく、もはやハイエンド系の撮影機材もEOS 7Dがあれば大満足という状態になったと感じました。


とにかく、ごく普通に、全てのEF-SレンズとEFレンズを使えるのは果てしなく大きい。
胸のすくような広々とした風景を捉えたけば、EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USMが決定版。

絞りも、ISO感度も、画質のパラメータも、極めて迅速にバンバン好きなように変化させられ、まさにカメラに吸引されるかのような時を過ごすことが可能です。



EF 40mm F2.8 STMレンズも活躍してくれました。
このレンズは、EOS 7Dには搭載されていませんが、リアルタイムAF作動時にマイクに作動音が入りにくい静音レンズなのが特長の一つではありますが、言ったら当たり前になっちゃいますが、従来通りの使い方が可能なのでEOS 7Dでも大きなメリットがあります。


レンズ交換式の動画撮影カメラはもはや珍しくも何ともなくなりましたけれど、EFレンズがそのまま使えるとなると、それだけで天頂的アドバンテージがあるわけなんですよね・・・

EOS 7Dは「家庭にもたらされた、EFレンズの映画カメラ」というわけか。

雨降りで大水量の滝も、シグマ70-300mmにパパッと交換して、300mm(換算480mm)でもって目の前にあるように捉える事が可能。


画質も何もかも、自分が好きな映像を、好きなだけ撮影する事が可能だったりします。


EOS 7Dがダメだったら他の高性能タイプカメラ買うかとか、何言ってたんだろう・・・?

ただし、撮影の前に全てのパラメータを決定して、ワンカット撮り切る腹さえくくれれば、EOS 7Dは一足飛びに家庭にもたらされた「ガチの映画撮影カメラ」という小さな幸せを存分に噛み締める事が出来ますが・・・

いつでも三脚を立てて、ジックリ撮影出来るのか? という、明快な弱点があります。

撮影に気合が必要なのが、良くも悪くもEOSムービーの泣き所。

もしも新しくカメラを買うのならば、それはもう高性能だのハイエンドだの、そういう看板のカメラでは無いなぁと思いました。
弱みは7Dと根源的には一緒であるし。
三脚に乗せるの前提のカメラは、もういいや


最後は新しいカメラ買う悩みの話になっちゃって恐縮ですが、ここまでの力を持ったEOS 7Dが手元にあるにも関わらずさらに買う価値のある「尋常ならざるカメラ」とは一体何だ・・・

三脚の呪縛から解き放たれたカメラとは・・・