2012年7月27日金曜日

HDR-PJ760Vで月や食べ物を撮影しながら、カールツァイス・バリオ・ゾナーT* 26-260mm F1.8-3.4レンズや1/2.88型センサーの良さに感謝

小さいセンサーのカメラを甘く見るなんてもう無理。
HDR-PJ760Vは、私のカメラ観を根底から変革してしまった惚れカメラであります。

その小さい体に搭載されたレンズは、高倍率(10倍)でしかも超広角ズームレンズという不利の塊みたいなスペックなのに、全然泣きを入れる事を知らない「カールツァイス バリオ・ゾナーT*(ティースター) 26-260mm F1.8-3.4」レンズ。

その優秀な描写力は、ありとあらゆる局面に潤いを与えてくれています。

何と言っても、革新的な「空間光学手振れ補正」とのコンビネーションもあるし、出来れば、今年度のレンズ・オブ・イヤーの称号を授与したいくらいの勢い。

■初めての月撮影■

ふと夜空を見上げると、もやの中に輝く月が美しい・・・。
HDR-PJ760Vのファインダーをパチッと引き出し(これだけで電源ON!)、大きなモードスイッチを押してフォトモード(500万画素)に切り替え、ファインダーに接眼して撮影しました。
カメラコントロールダイヤルに「カメラ明るさ」を割り当てて、月のディテールが出てくるくらいまで明るさを絞っての撮影。


4:3比率の500万画素フォトモードは、最高でもフルサイズ換算で318mm。

さすがに月を撮るのなら、もっと望遠撮影に強いHDR-XR500Vが良いのかなぁ・・・と思ってましたが、カールツァイス・バリオ・ゾナーT*レンズの切れ味ったらどうだろう。

オートフォーカスはズバッと当たり、月の表面の模様をクッキリ描き出してくれています。



切れ者のこのレンズですが、さすがに広角側に寄せているだけあって望遠撮影が弱い(遠い)のはしょうがない。

しかし、レンズが良いので、写りそのものはかなり余裕がある感じ・・・ならば、被写体中央部を50%のサイズでトリミングしてしまおうというのが次の写真です。


これは、先ほど撮影した月をトリミングして125万画素の写真とし、さらに掲載用に縮小したものです。

手持ち+オートフォーカスで手軽にパチリと撮影した写真なのですが、驚くほどに鮮鋭な写りでありました。


こんな小さい体のカメラが、薄モヤにジワッと光が反射する月の姿なんか、ここまで克明に撮影出来る時代なんだなぁと感心させられるばかり。

■食べ物撮影に見る1/2.88型センサーの馬力■

レンズがとても良いのは嬉しさ極まれりですが、ハイビジョン用に専用開発された1/2.88型センサー(16:9比率センサー)の完成度がまたエクセレント。

4:3比率で写真撮影すると、センサーが4:3ゆえにフル画素600万画素出せたHDR-XR500Vと違い、左右の画素がカットされてしまう為に500万画素のHDR-PJ760V。

しかし、センサーの基礎性能が進化しているのに画素サイズも落とさない相乗効果があるんですね。

過剰な画素数を誇る時代に逆行した、500万画素・600万画素の良さを堪能出来るのは、もはやハンディカムを写真機と認めた今だけかも知れませんね。


またしても、夜中かつ節電で半分に減らした薄暗い蛍光灯下での食べ物撮影。

しかし、カメラコントロールダイヤルに「カメラ明るさ」を割り当てて、ゼブラパターンがやや出ている状態までダイヤルをジリジリと回しながら明るさを上げています。

今回の写真は、どれも、絞り開放F/1.8、シャッター速度1/60秒。

ゲインアップ(AGCリミットをかけているので最大18デジベル)で、どれくらい明るく、綺麗に写るのか? というのが勝負という写真です。


こっちは、にら玉の写真です。
ファインダーにゼブラパターンがやや出ている状態(写真には写りません)。
1/2.88型センサーというと、大型センサー全盛の今、かなり馬鹿にされてしまうのではないでしょうか。
しかし、ゲインアップしても全然荒れたり痩せ細らない画質は、素晴らしいの一言。
先に同じくらい打たれ強い画質を持った先輩カメラ「HDR-XR500V」を知らず、いきなりHDR-PJ760Vを手にしていたら? 良い意味で、相当大きなテクノロジー・ショックを受けていたと思います。


これは冷やし中華です。

ライティングするどころじゃない、節電で薄暗い蛍光灯下の夜中の食卓で、気軽に食べ物撮影を明るくこなせるゲインアップ耐性を持つ1/2.88型センサーなんて、本当にここにあるんだなぁと、感慨深いものがありますね。

センサー、レンズはもちろんですが、映像エンジンBIONZ(ビオンズ)の優秀さも引き立ちます。

ソニーは、最先端のセンサー等を快く外販する太っ腹メーカーですが、映像エンジンBIONZある限り競争力は大丈夫って考えもやはりあるんでしょうね。


この写真、カメラコントロールダイヤルの「カメラ明るさ」でもって、お皿の部分いっぱいにゼブラパターンを広げた状態まで明るくして撮影しましたが、丁度良い感じかな。
ゼブラパターンが出る=即・白飛びというのではなく、「飛びそうなんだけど、いいか?」というインフォメーションなんですね。

シャッター速度優先AEや、絞り優先AEが可能になっても、ソニー独自の概念「カメラの明るさ」コントロールはかなり便利ですね(HDR-XR500Vではこれが頼り)。

シャッター速度や絞りやゲインアップ度合いは全てカメラにおまかせで、撮影者はただカメラコントロールダイヤルを回して好きな明るさになったら撮影するだけ。

ただ、まだ明るさに関しては全然余裕を残しています。

今はAGCリミットでゲインアップを18デジベルで抑制していますが、写真モードでは21デジベルまでゲインアップ可能ですし、シャッター速度を1/30秒まで落とす事によって、さらに倍の光量を稼ぐ「LOW LUX(ローラクスモード)」は完全温存。

HDR-XR500Vで見せてくれた「小さいセンサーの驚くべき強さ」が、大きなセンサーのカメラに追い込まれた末の「今回限りの火事場の馬鹿力」や、ろうそくが燃え尽きる前に大きく燃え上がる「一瞬の奇跡」で終わらず、地道にブラッシュアップされて安定して進化しているのは、本当に嬉しいですね。