2018年10月25日木曜日

EOS KISS Mベースの高機能カメラに期待と不安

どんどん大きく高額化し「昔のお金持ち趣味に逆戻り」しつつあるような暗雲立ち込めるカメラですが、それを阻止している最終防衛ラインに近いカメラの一角が「EOS M」だと思います。

そのEOS Mの最新鋭機である「EOS KISS M」は、馴染みやすいファミリーブランド「KISS」の名前を冠しているため、一瞬、低機能のエントリーカメラと誤解されますが、実情は非常に立派な中堅機となっていて、「羊の皮をかぶった狼」を体現するカメラに仕上がっています。

このブログでも何度も書いている通り、個人的に、過去最高に買って嬉しいカメラになっているほどです。

その次の段階としては、その「羊の皮」を脱ぎ捨て、堂々と高機能機を高らかに謳うスーパーバージョンへの期待が高まるのは人情というもの。

一体それはどのようなカメラになるのでしょうか?


■EOS RとEOS KISS Mの結晶体

一つの指針として、ついに今週末発売を迎える、カメラ界を革新する新世代カメラ「EOS R」の存在があります。

EOS Rは、EOS KISS Mに搭載された「DiGiC-8世代」テクノロジーをベースとして、機能を追加・強化してあります。

ミラーレスの面目躍如である、動体の認識・追尾能力の強化(奥行の情報認識が追加)、超高性能機たるEOS 1DやEOS 7Dのユーザーにも馴染みやすいAFフレーム選択方法(実能力自体はRでは1Dと7Dには及ばないが)取り入れ。

フルサイズセンサー以外の電子的な部分は、EOS Rからエクスポートして来られるのではないか? EOS KISS Mの優れた小ささと、EOS Rの機能の結晶体・・・それが望む形になるのではないかと思われます。


■EOS M5はどうなのか?

EOS Mのハイエンド機としては、既にEOS M5が存在します。

では、EOS M5はどうなのか?

EOS M5そのものは素晴らしいカメラだと思いますが、時期がやや早かった、としか言いようのないカメラでもあります。

キヤノンは、一眼レフで世界を完全に制してた強みが弱みに転じ、一眼レフでは不利と見たソニー等の他社が早めに開拓していた「ミラーレス」に乗り遅れました。

ただ、一旦やると決めたら、弛まずに必死のミラーレス開発を続けたわけですが、そんな漫画のように一夜にして成る技術などというものは無く、決定的な技術「デュアルピクセルCMOS AF」の誕生、そしてその熟成には数年を要することになりました。

EOS Mは、確かにカメラ商品の1ブランドではありますが、同時に、キヤノンミラーレス技術の努力と苦闘を記録した「歴史の博物館」ともなっているわけです。

EOS M5は、その苦闘の歴史がまだ続いていた頃、ようやく夜明けが見えた、そんな位置づけのカメラだったわけです。

EOS KISS MとEOS Rによって、いよいよ一眼レフと同等の位置付けで新しいスタートを切るキヤノンミラーレス。

EOS M5の意思をも継いだ新たなる小型・高機能機への期待はあまりにも大きいものがあります。


■不安もあります

不安というのは、やはり、高額化というところでしょうね。

体の小ささに拘るなら、EOS Mは全シリーズがそれを享受出来るわけだし、どうせ高額になってしまうのなら、EOS Rを買った方が良いのではないか?という思考になるのは火を見るよりも明らか。

思うに、小型の高機能機は、すべからくこの地獄ループにハマる気がします。

何か背中を押す強烈なワンポイントがあれば良いのですが。

それと、EOS Mは、体が小さい事が圧倒的なアドバンテージの一つになっていますが、それは逆に言うとバッテリーが小さいという事でもあり、短期間にEOS Rに搭載された機能全てを載せて、小さなバッテリーで駆動できるのか・・・技術開発の進化に都合よく期待したくなります。

これからどうなるか。

ただ、閉塞感のあったカメラ界が、キヤノン本気のミラーレス注力で大きく動いたなというワクワク感だけは強まるばかり。