先日、一度書けなくなってしまった「モンブラン万年筆のSライン シルバーライン(多分)」ですが、洗浄してn年 + ブランク分の約10年分の汚れを流したらキッチリと復調してくれました。
この勢いに乗って、約30年(ブランク10年)も生き続けているプラチナ万年筆社「ポケット」を洗浄すれば、さらにパワーアップするのでは!? などと色気を出して洗浄してみました。
今回の記事では、その洗浄の様子について書かせて頂きたいと思います。
まずは、万年筆「ポケット」を各パーツに分解しました。
洗浄するのは、これらパーツのうちの先頭部分だけです。
先頭部分とはつまり、ピンク・カラーが美しい首軸 + ペン先になります。
首軸にはインクカートリッジが差し込まれていますので、これを除去して空洞にしてしまいます。
首軸の中に残ったインクを流水ですすいでから、静かにぬるま湯を張った桶の中に静かに浸します。
そして、このまま少なくとも一晩は置いておくのが最大のポイントです。
--- 一晩経過 ---
一晩経過すると、首軸+ペン先の周りを、一晩かけて溶け出したインクの汚れが「もや」のように包んでいました。
ところが、写真を撮る前に桶を動かしてしまったので、もやが拡散してしまって、ちょっと見えないのが申し訳ないです。
でもよーく見ると、水の中に拡散した「もや」の残滓が感じられると思うのです。
桶から引き上げたら、最後にもう一回流水ですすぎます。
今回は、ここまで来てなお2秒くらいペン先からインクがサーッと流れでて来て気持ちもスッキリです。
タオルでよく拭いてから、ティッシュで徹底的に水分を吸収して乾燥させます。
インクカートリッジは新しくしています。
新しいと言っても、カートリッジそのものは古い製品です。
とうの昔に仙台から消えてしまった百貨店で買って、そのままタンスの奥に眠っていたカートリッジなんです。
新しいけど古いカートリッジを真っ直ぐに首軸に差し込むと、金属製のボールがポーンと外れてインク内部に落ち、ちゃんと装着されたよって事を知らせてくれます。
モンブラン万年筆ではこのボールは無かったなぁ。
プラチナ万年筆社の仕様なのかな。
30年の歴史を感じるのがこのペン先。
万年筆のペン先の先端はペンポイントと呼ばれ、ここには高硬度の貴金属(イリジウムや、イリジウムとオスミウムの自然合金であるイリドスミン等)が取り付けられていて、摩耗からペン先を守るようになっている・・・のですが、その守りがすっかり消えてしまっていますね。
洗浄後の試し書きです。
さすがに最初は、残存した水分によって文字が薄まってスカスカでしたが、暫く書いていると復活してくれました。
約30年(ブランク10年)のうちにペンポイントのイリジウムが摩耗しきって、ペン先本体の18金をすり減らして書いているような状態になってると思うんですが、それでも細くて精密な文字が気持よくカリカリと書く事が出来ます。
母から私に、親子二代に渡って現役の万年筆!!
なんというか、日本の職人さんの技術力は、比喩でも何でもなく、そのまま神の技ですよね。
ただ、ここまで頑張ったペンだから、もういつ寿命が来たとしても何の文句も言えないです。
ひたすら「ありがとう」しかないですよね。