ドイツの誇る製図シャープペンシル「ロットリング500」が我が家にやって来てくれました。
家に届く前は、心腹を輸写すると「ロットリング600の廉価版だろう」という意識だったのですが、実際はそういうあなどった位置付けなどではなく、別の新しい魅力を纏った超実力派でありました。
このロットリング500は、さすがにロットリング600とは違ってケースは付属していませんでした。
しかし、一目見て「この高級感はクラス最高ではないか?とギョッとなる程、デザインは精錬されていて、マットブラック処理された全身はどうみても生半可なものではありません。
全身金属のロットリング600と違って、ロットリング500は二つの素材に分かれています。
すなわち、ローレットとペン先は金属、軸は樹脂製なのでありますが、どちらの素材にも丁寧なマット加工が施されているのですっきりした統一感があります。
樹脂はマットブラック塗装、金属には梨地加工がしてあって、この価格スケールでここまでやれるのはさすがドイツだなぁと感嘆するばかりです。
ただ、別に誰が悪いと言いたいわけではありませんが、樹脂軸にバーコードシールをベタ貼りするのはやめて欲しい。
剥がす時に傷つけないようにする作業が毎回怖いし、マット塗装されていたらなおさらです。
ペン尻部分にほどこされた赤リングも、クローム(Cr)加工されたリングに縁取りされて非常に立体的。
ブラックとレッドの組み合わせは、ドイツ製でありながらも、どことなく日本のミヤビな心を刺激してくれますね。
ロットリング600と並べてみました。
値段スケールで言えば二倍も違うのですが、手触りや重量といった違いはあるものの、どちらも最高クラスに優秀な製図シャープペンシルとして好みに応じて使い分けると良かろう、というレベルで完成されています。
(特に私の場合は600が0.5mm芯、500が0.7mm芯なので、自然と使い分けるカタチになりますね。)
ただ、実際にどうなるかは分からないのですが、個人的な印象で言えば、ロットリング500は使い続けていくうちにやっぱりマット加工の塗装がテカテカしてくるのではないかな? という心配があります。
これはロットリング500に限った話ではなく、超高級万年筆をも含んだ、マット処理された全ての筆記具に言える事だろうと思います。
テカり出したら駄目とは思わず、時間をかけて醸造された「味」や「風合い」として、長く使った勲章として良い事なんだと捉えるのが筋なのでしょうね。
実際に筆記してみると、「製図シャープペンとは、こういうものだ!」と獅子吼する実力です。
学生が普通に使う鉛筆くらいの程よい細さで、握り具合に間違いなし。
そして、どこにも偏らない重量バランスたるやどうだろう。
そう、金属ローレット+樹脂軸という、普通なら大きな重量差を生じさせるであろう複合素材なのに、金属部分に重量が偏らないバランス設計になっているのが活目すべき点の一つ。
おそらく、クリップの梨地加工や、樹脂軸に施した塗装の重みを計算に入れているのだとは思いますが、そのこだわりは明らかにオーバー・ザ・レインボー。
もちろん、鉄芯感溢れる強剛性で、全く筆記に揺るぎはありません。
値段が高いと思っていた舶来筆記具ですが、ロットリング500のような非の打ち所のないペンもあるわけで、世界の広さに雀躍するしかありません。