ふらっと立ち寄った仙台の文房具屋さんで、一筆のみ店頭にあったシャープペンシルを購入しました。
その名は「ぺんてるグラフ1000 FOR PRO (0.7mm)」
このグラフ1000 FOR PRO(フォープロ)は、ドイツのロットリング600やラミー2000等と並んで、"シャープペン好きなら是非とも所有していたい級"の、まさに大勢に愛される日本の名筆の一本に列せられるものです。
デザインは、心腹を輸写すればかなり地味な部類だと思います。
グラフギア1000の遊び心も、ロットリング500の静かで深い緊張感も、パッと見は感じられないように作られています。
あえて名前に入れられたFOR PRO(フォープロ)が示す通り、このシャープペンシルはプロ向けで、作品に対してペンが浮き立たないような配慮がなされていると思われます。
個人的には、青色のワンポイントカラーがとても心にグッと来ました。
これは、ISOのカラーコードで0.7mmを表すカラーで、青色が欲しければ自然と0.7mm芯モデルになるわけです。
グラフ1000 FOR PROは、一見してオール樹脂に見えます。
しかし、実はノーズコーン(口金)やグリップは金属製で、表面にマットブラック加工を施す手間をかけた高級品質なのです。
筆記具では、おおむねの話ではありますが、非光沢加工、マット加工というのは、特別に高級ラインのモデルに施すものだったりするので、まずは刮目して見るとよろしかろうと思います。
グリップは、マットブラック加工を施された金属の筒にスリットが切ってあって、そこから等間隔にラバー状素材の突起が出ている複合素材タイプで、滑り止め効果は抜群です。
ラバー状素材だけだと、ちょっとベタつきが感じられたりする事もありますが、マット加工金属との複合によって、指が痛くなく、滑り止めがバッチリで、手触りも比較的サラサラという見事なグリップが実現されております。
いよいよ実際に筆記してみると、0.7mmは、良い意味でシャープペンらしくない滑らかな書き味を楽しめますね。
また、0.7mmの太さが根源的に持つ折れにくさ。
強くて、精密。
プロ用途の確かな製図用シャープペンが、さらにアート用ペンシルの血も得ている感じで、見た目の地味さがまさに「威あって猛からず」ペンだなぁ!!
■追記
仕事に投入してみましたが、その書き味はまさに「神話クラス」でした。
0.7mm芯がとてつもない大当たりで、あわてて何かを書く時にガキッガキと大変な筆圧をかけてもビクともしない。
グリップの"金属の下地にラバー突起"の組み合わせは実に見事。
適度に柔らかく適度に硬いという、研鑽の賜物といった設計。
非常にゴミがつきやすく汚れやすいという欠点はありますが、埃を払うフサフサで掃除してあげれば何とかなりました。
超長寿命製品の凄味を思い知りました。