今回の記事では、アメリカ合衆国の一流筆記具メーカーCROSS社の本革ミニボールペン「クロス・オートクロスペン・ブラック」について書かせて頂きたいと思います。
CROSS社と言えば、贈答品用筆記具の雄。
化粧箱の一流品感たるや、もはや化粧箱そのものを贈答品と勘違いしても許される次元と言ったら大げさでしょうか。
布製の取っ手を指で摘んで、内箱を引き出しのように開けることが出来るのですが、このありがたみ感いっぱいっぷり
ったらどうでしょう。
化粧箱は筆記具に関係ないと言いますが、裸で紙袋に投げ込まれて来るのと、うやうやしく立派な箱に納められて来るのでは、もうまるっきり、初回の喜びレベルが違って来るものです。(※箱、邪魔だからいらねーと言われたらそれまでですが・・・)
ちなみに、同梱されるCROSSの筆記具取り扱い説明書の外観はこんな様子です。
解説書そのものは良くある一枚ものの紙ですが、そのまま添付したのではCROSSのプライドが許さないのか、きっちりカバーに包まれています。
いよいよ化粧箱から取り出すと、独特のフットボール型(楕円形型)のフォルムに、黒色の本革を張った、小さくも存在感の大きなボディに惚れ惚れしてしまいますね。
本革はフルグレインレザーと言って、元々の革の自然の風合いをそのまま活かし、皮革に傷があっても修正加工などしない事によって高い強度を実現したレザー素材なんですね。
自然素材を使った製品は、元々の素材に入った傷等があれば、オンリーワンの柄としてむしろラッキーと思うのが吉なんでしょうね。
レザー素材や、独特のフォルムはもちろんですが、このペン尻パーツ全面を覆うように施された金属彫刻も、濃密な満足感を与えてくれるように思います。
このオートクロスペンで瞠目する大きな要素の一つは、フルグレインレザーの張り方でありましょう。
本革ペンの悩みの一つは、"革をペンに張るのは良いが、合わせ目をどう目立たなく処理しようか?"って事です。
何千円かする筆記具でも、カーペットみたいなキツイ合わせ目をそのままにしてたりするものがありますが、もうその時点でガッカリ、さよなら(涙)という、運命の分かれ道。
しかし、オートクロスペンはそんな合わせ目が全く存在しない快挙を成し遂げています。
なぜなら、ペンの背中のCROSS社のロゴが彫刻された金属ピラーで、革の巻きを止めているからです。
本革ペンの悩みを完全に解決しつつ、ずば抜けたデザイン性もアピールする。
まったく、このうまさには「なるほどっ」ポン!っと手を打ってしまいます。
ペン先は、見事な金属彫刻が施されたペン尻パーツを回転させて繰り出しますが、左右どちらに回転させても繰り出しOKという親切設計。
回転の質感はグッド。
確かに、ファーバーカステル・エモーション・プレシャスレジン・ブラックウィーブあたりには、ちょいと届かないかなぁ・・・という所ですが、もう十分に上質感ある回転を楽しめます。
ペン先は、個人的に色々ビッグなイメージのあるMade in USAからすると、意外なほどの極細。
感覚的に言うと、国産の0.5mmくらいかな?というところです。
実際に筆記してみると、個体差かも知れませんし、非の打ち所の無いボディによって期待のハードルが高くなっている不利を差し引かねばなりませんが、リフィルの#8518-1というのはそう良い書き味とは言いにくいかな。
インクが薄く、ペン先が紙に食ってかかって、書き味が粗野な感じ。
ただ、何しろペン本体そのものが常に傍に置きたくなるほど素晴らしい仕上がりなので、積極的に持ち歩いて使ってみたいペンになっているので安心してください。
ちょい気になるのが、もしかして入手困難なペンになってるかも知れないと言う事です。
あくまでもこの記事を書かせて頂いてる、今日現在の事ではありますが、どのショップを見ても販売されてません。
時期が来たら、あっさり買えるようになってると良いのですが。