今回の記事では、英国の筆記具メーカー、パーカー社が贈る高級ラインのボールペン「パーカー・アーバン・プレミアム・マットブラックBT」について書かせて頂きたいと思います。
パーカー社の筆記具の化粧箱は、白い紙製のシールドに包まれています。
シールドを外すと現れるパーカーの化粧箱は、紙製でありながらブロンズ調の重々しい質感があって、良い筆記具の登場を予感させてくれる仕上がりとなっていますね。
化粧箱を開けると、黒く輝くパーカー・アーバン・プレミアム・マットブラックBTが、温かみのある起毛台座に横臥しています。
パーカー社の化粧箱は、何と裏蓋にまで、そのまま飾り付けに応用出来るほどの素材とメーカーロゴが据え付けられています。
このあたりの拘りは、"いつ贈答品として使われても大丈夫"だという、一流メーカーならではの自信の一端が垣間見えて心強いものがあります。
パーカー・アーバン・プレミアム・マットブラックBTは、その名前の通り、「アーバン」シリーズの高級バージョン。
そして、徹底的に黒にフォーカスした、「黒い宝石」とさえも呼べるほどの、極めて高い質感が特長です。
ペン軸は、あえて非光沢とした「ブラスラッカーマットブラック仕上げ」を施し、クリップやペン軸先端には、たっぷりと光沢を乗せた「グロッシー・ブラック・イオンプレーティング(IP)仕上げ」を施し、対極にあるこの2つのブラック仕上げをぶつけ合わせる事によって、人の心を揺さぶる大変な美的効果を生み出す事に成功しています。
また、軸を走る見事なチーゼル彫刻にも目を奪われてしまいますね。
ペン先は、ペン軸を回転させる事によって繰り出されます。
回転は滑らかさと重みがあり、ハイグレードクラスに期待するものをちゃんと備えてくれています。
天冠部分からのビューも、マットとグロッシーという、対極の質感を持ったブラックのコンビネーションはあまりにも美しく、まるで優れた美術品を鑑賞する時のように、しばし息が止まるようでありました。
クリップは、パーカーのアイデンティティである矢をモチーフとしたもの。
自動車で言うと、BMWのキドニー・グリルのようなもので、ブランドに統一感を与える重要なエレメントであります。
日本のメーカーは、筆記具にしろ自動車にしろ、会社のロゴマークをポコッと付ける以外には、統一的な要素をブランドに与えない(与えるだけの自信を持っていない?)ため、うらやましいというか憧れてしまいますね。
天冠部分は実にスリックで、彫刻やロゴの類を排除することにより逆に高級感を高める手法を採用しています。
シンプルさがブラックIPの効果をこの上なく持ち上げているよう感じられるし、パーカーのデザイナーさんの目論見通り行っていますね。
筆記してみると、書き味はさすがパーカー・リフィル!の一言に尽きます。
粘りけがあり、しっかりと紙に乗り、重々しくも書きやすい「これぞ油性インク」と主張する書き味。
万年筆や水性インクの滑らかさを目指して開発された、日本のジェットストリーム・インク(三菱鉛筆)、アクロインキ(パイロット)も素晴らしいですが、パーカーこの油性インクは、それら新世代の多士済済を前にしても、ただの1たらしも色褪せない永遠のベリーグッドタッチ。
パーカー・アーバン・プレミアム・マットブラックBTは、いつまでも書いていたいと思わせてくれる高い実用性と、手元を輝くブラックで照らす優れた美術性を併せ持った、心を豊かにする筆記具であります。