ついにキヤノンのコンパクト一眼レフ「EOS KISS X4」が正式発表になりました。
今回も、個人的に最高に気に入っているEOS KISS X2の基本フォルムを継承しているのが嬉しい。さらにラバー類の追加などによって、より高級感を増している感があります。
内容的には、まぁある程度予想はついていたのですが、今回のモデルチェンジは、完全にハイビジョン動画のブラッシュアップモデルとなっております。
■ まだまだ「古い」EOSムービー ■
EOS KISS X4のハイビジョン動画撮影機能は、今回の目玉中の目玉であり、スペック的にも「映画カメラ並み」と賞賛されるEOS 7Dに匹敵するものです。
APS-Cセンサーという、ビデオカメラの水準からは考えられない巨大センサーを源泉とする高画質。
バケモノ物量の1800万画素から濃縮して得られる、1920x1080ドット/30p(24pも可)フルハイビジョン映像は、異次元の表現力を期待させてくれます。
しかし、巨大センサーの特性に頼った性能の高さはあるとしても、このEOSムービーは、まだまだ撮影にとても高いスキルが求められるため、最新のビデオカメラと比較すると「古い」と言わざるを得ないです。
普通のビデオカメラの代わりにしようとすると、かなり荷が重いかも・・・というより、無理があると思います。
特に、ビデオ撮影において、オートフォーカスが極めて弱い、あるいはマニュアル主体に割り切ってある設計は、撮影シーンを非常に選んでしまいます。
プロ用のビデオカメラがマニュアルフォーカスでも良いのは、計算した上で撮影に使うためであり、普通の人が気軽に撮影するとなると牙をむいてきます。
ただ、敷居は高いとはいえ、EOS KISS X4のハイビジョン撮影機能は、非常に中途半端な状態で投げられた感のあるX3から比べると、マニュアルカメラとしては立っている部分があって、撮影機材として大きな存在感を示してくれるのではないかと思います。
シャッター速度や絞りが、今回からはEOS 7Dに準じて完全マニュアル対応。
ただ、マニュアルといっても、撮影中にリアルタイムで操作してしまうと、ダイヤル類の抵抗でカメラを揺らす危険性バリバリ。このあたりは、本職のHDR-AX2000などのハイエンドビデオカメラとは闘えない部分ですが、自分なりの創意工夫チャンスと考えて楽しむしかありません。
世の中への一眼レフカメラ普及という重い使命を持ったEOS KISSが、なんと最強ボルテージクラスのマニアックなビデオ機材の顔を持ったのが、これまた世の中の面白いところではありますね。
ハイエンドビデオカメラは、家庭用でも40万円程度します。ボディのみで9万円前後で購入できるEOS KISS X4は、とにかく高画質を追求してみたいという好奇心の良い旅先になることでしょうね。