2010年2月11日木曜日

「写真機」として見たEOS KISS X4



EOS KISS X4は、映画カメラ並みの表現力を持つと世界中で絶賛されている「EOSムービー」の現行時点フル仕様を、10万円を切る価格で提供するという大きなインパクトを持ったカメラです。

ハイビジョンカメラとして見ると、機能不足や不自由な操作性などまだまだ未完成という感が強く、撮影者には一定水準以上の高いスキルレベルが要求される弱みはあるものの、こと画質においては「映画レベル」で完成している感もあり、この極端なアンバランスさが面白いとも言えるでしょう。

■ 写真機としてのEOS KISS X4 ■

EOS KISSシリーズは、便宜上はエントリークラスと呼ばれますが、その写真機としての基本能力は極めて高く、壊れさえしなければ、普通に写真を撮る分には一生付き合っていけるくらいの高いレベルにあるはずです。
キヤノンも、その基本能力に安心しているのか、今回は、写真機としては大幅な改編はありません。
メカニカルシャッター周りや、光学ファインダーなどの主要部位は、従来通りの仕様です。
AFシステムも、従来と同じ。もはやおなじみと言って良い長 寿命世代「中央部F2.8の9点式」ですね。

■ いくつかEOS 7Dを超えるデバイスを搭載 ■

EOS KISS X4は、泣く子も黙る最強クラス高性能カメラEOS 7Dをも上回るデバイスが、いつくか搭載されています。

何といっても、3型の104万ドットのワイド液晶モニタ。アスペクト比が3:2と写真とぴったり同じなので、モニタの隅々までフルに写真が表示できることとなり、実質的に従来よりも大画面化となっています。あとは、EOS 7Dのようにモニタが見やすいかどうかですね。
厳密なピント合わせが必要な場合は液晶モニタによるライブビューとなるため、モニタの高画質化は無条件で歓迎できる要素でしょう。

次は、記録デバイスですが、いよいよ最大2テラバイトのSDカードであるSDXC規格対応
1800万画素のRAWまで撮影を考えると、今はまだ高価ですが、64GB以上のカードが使えるSDXCは大変な魅力でしょうね。

それと、EOS KISS X4最大のアドバンテージは、やはり小さくて軽いこと。
ある程度しっかりした一眼レフファインダーを搭載して、このサイズ、この機能というのは、持ち出す意欲にかかわる点でもあり、ありがたい。

■ 風景写真機として飛躍するかEOS KISS X4 ■

EOS KISS X4に搭載されたセンサーは、なんと画素数1800万画素。
画素数増加の賛否はおいておくとして、何はともあれ、圧倒的なディテールの描写力を持つのは否定出来ないです。
使えるかどうかではなくて、もはやポスターやカレンダー撮影用にも使わないと勿体無いほどの高レベルです。

相変わらず公開が早い!!メーカー公式の実写サンプルを見ると、何はともあれ、純粋に1800万画素の物量によって、被写体のディテールを力づくで拾い上げているのが圧巻。
レンズ能力によってベストか否かは変動するとは言え、衣服の繊維のディテールやら、町並みの家の一軒一軒のディテールやらをここまで拾えるのは、問答無用なピクセル数の多さでしょうね。

逆に言えば、EOS KISS X2とは比較にならないほど、被写体が拡大されて撮影されるというわけで、ブレも見えやすくなるというデメリットもあります。
神経質にならないように、ここまで来たら、等倍ピクセルチェックは意図的にやめるのが吉でしょうが、等倍の写真をそのままトリミングで使いたいケースも考えられるので、痛し痒しです。

ちなみに、感度ですが、画素数が多くなったのにも関わらず感度アップしてます。
ISO 100-6400が常用可能。ゲインアップでISO 12800にも対応。
裏面照射センサーに頼らず、従来のセンサーの無駄を、それこそ爪に火を灯すような努力で省き、感度を地道に稼ぐ技術姿勢は、まさに日本人の性質と言える感じで拍手喝采ですが・・・さすがにどのへんが限界なのか怖くなってきました。

EOS KISS X4は、初めての方ならば、迷い無く買いのカメラです。文句なしにカッコよいですしね。
レンズは、EF-S 18-55mm 3.5-5.6 ISレンズとのキットが良いでしょう。
過去にこのブログでも書かせて頂きましたが、軽くて良いズームですよ。


EOS KISS X2のオーナーさんの場合は、無かったハイビジョン動画撮影機能が丸々手に入るし、新型液晶モニタによって、ライブビューまわりがかなり改良されているため、余裕があれば買いかも。ただ、約10万円という事で、Lレンズ購入と天秤にかけてみるのも面白そうですね。