軽量な超広角ズームレンズとして、まさに群を抜く「EF-S 10-18mm F4.5-5.6 IS STM」をじっくり試写してみました。
このレンズは、超広角ズームレンズの世界に「軽い、安い、写りが良い」という、まさに新しいキヤノン三原則!?を持ち込んだ画期的なレンズです。
軽量で鳴らすキットレンズ「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS STM」と、ほぼ同じ感覚で使える超広角ズーム。
まさに驚異です。
EF-Sの名玉と絶賛される、歴史に残るレンズ「EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM」もかなりの軽量(385グラム)なのですが、240グラムのこっちは、持ち上げる段階で明らかな違いが伝わります。
どんなに小さくとも、画質が悪ければどうにもならない、というわけで10mmで撮影してみましたが、素晴らしいキレ味です。
最短撮影距離は22cmなので、10mm超広角なのに、「え!?」というくらい寄れます。
寄れる能力も高い名玉EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USMですらも、24cmであるため、10mmでの近接撮影能力はこっちが上・・・なのか、うおう。
シャッター速度は1/50秒でラフに撮ってますが、薄いながらも手振れ補正装置ISの効果もあるようです。
寄れる上にすこぶるつきの軽さもあり、まるで、単焦点のEF-S 10mm F4.5 IS STMでも使っているような感覚、と言えば、このレンズの凄さが分かって来ます。
図に乗って、10mmで、シャッター速度1/8秒でラフに撮ってみました。
ラフに撮っては、さすがに手振れ補正装置ISと言えどもブレを吸収しきれないですが、がっちりとホールドしさえすれば、1/8秒手持ちもギリギリ行けそうな手ごたえ。
手持ち動画の超広角では決定版と言えるでしょうね。
今度は14mmで撮影してみました。
ただ、最短撮影距離22cm付近だからなのか、ちょっと「ふわっ」とした描写になって来ますね。
もちろん、問題とかそういう話ではないのですが、EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USMは、全域で「暗いけど単焦点!?」と思うくらいの画質だったんで、さすがに差はあるのかなぁというところ。
テレ端の18mmです。
最短撮影距離付近だと、ワイド端にピークがあって、テレ端に伸びて行くにつれて、描写はふわっとして行く傾向なのかな。
ただ、歪曲収差の無さは驚異的。
建築物の撮影にもガンガン使っていけるんじゃないか!?というくらい、歪みが無い(ここには無いですが、実際に引きの構図で撮った写真で確認済み)です。
これはかなりの美点だと感じます。
良レンズだと思う、「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS STM」でも、18mm端は歪曲がはっきり残存するし、全然こうはいかないです。
歪曲のなさは、名玉EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USMでも大きなチャームポイントの一つでしたから、キヤノンはよっぽど得意とするところなんだろうな。
18mmテレ端で、シャッター速度1/15秒でもってラフに撮ってみました。
超広角ズームなので、手振れ補正装置ISの効きは元々地味かも知れないですが、1/15秒ラフでも、輪郭がやや滲みっぽくなるくらいで抑え込まれているのはさすが。
写真では、あまりISを意識しない方がいいですが、動画ではかなりの効果が得られそうです。
むしろ、動画を意識したIS搭載なのかな。
しかし、このレンズが画期的なのは、お店によっては3万円台で買えるという安さです。
どんなに写りが良くとも、デカ重で、1万円札をバキュームのようにどんどん吸い上げるレンズだったら、そらぁ、マニアだったら気にもしないんでしょうが(どこの世界でもそうだけど)、普通の人は泣くしかない。
そういう悲しみを未然に防ぎ、より写真の世界を開けたものにするのは、このレンズも含めた「軽量で安くて写りも良い」レンズ群だと思います。
そして、そういう、一見して「入門」と甘く見られるレンズたちこそが、真に名レンズと呼ばれるにふさわしいのではないでしょうか。