今回の記事では、希少な木軸の製図用シャープペンシルである、パイロット社の「S20(エストゥエンティ)」について書かせて頂きたいと思います。
実は、既に記事にも書かせて頂いておりましたが、新年に贈り物として頂けたのがこのパイロット社のS20(エストゥエンティ)だったのです。
この場をお借りして重ねて深謝申し上げます。
これからも、勉強に仕事に、素敵な筆記具たちを友として全身全霊で取り組んで行きます!
さて、紙製のシールドを外すと、いよいよプラスチック製ケースに収められたS20が姿を現してくれました。
見るべき点が数多い美麗なフォルム!
やはり、まず、木軸素材の「含浸カバ材」の威厳ある無光沢の質感に瞠目させられます。
S20の木軸は、カバザクラ等の樺の木(カバ材)をそのまま使うのではなく、樹脂を染み込ませる「含浸(がんしん)=コムプライト」という技術でもって耐久力を飛躍的にアップさせているのです。
ペンは、美術品の側面を持ちあわせていますが、その意味では、鑑賞するだけの美術品から一歩進んだ、日常でバンバン使用する美術品であるため、美と強さを兼備した「含浸カバ材」はまさに持って来いでありましょう。
複雑なカーブを描いた細身のフォルムも実に見事なものだと感じ入ります。
クリップや中間リングのパーツの造形や、その表面に施されたマット加工も徹底して丁寧に仕上げられており、ペンにかける職人魂の熱さ!!これを我が手に存分に感じる事が出来ます。
この曲線美は、パイロット社の技術の高さを証明していますが、いやほんと、このレベルを量産出来る日本という国は技術立国と言うだけあるなぁと脱帽するしかありません。
模倣しようったってそうはいかない、こうした高度な物理的な加工技術も日本の持ち味であり、それをひしひしと感じられる筆記具はやっぱり素晴らしい存在。
ちなみに、製図シャープペンシルの定番機能「硬度表示」もバッチリです。
含浸カバ材の表面仕上げは、とことんきめ細やか。
このS20、木軸ペンと言えば、どうしても私の好きな三菱鉛筆ピュアモルト・シリーズが思い浮かびますが、その中でも、オークウッド・プレミアム・エディションと同じプレミアム・ラインの高水準に位置していると言えるでありましょう。
ノーズ・コーンにつけられた段や、長いリード・スリーブが、製図用シャープペンシル特有の見晴らしの良さを生み出していますね。
実際に筆記してみると、最初から入れてもらえている「硬度Bの芯」の適度な柔らかさと、絶妙なカーブを描く手触り温かい木軸が溶け合わさりふんわり優しい書き味に感動します。
とにかく握りやすい。
この含浸カバ材の木軸は、単に珍しいねで終わっているのではなく、ロットリングやステッドラー等の超高性能の勇士・強者がズラリ揃う製図用シャープの中にあって、S20を非常に使いやすく高め、魅力を大きくアピールする大馬力のスーパーエンジンになっています。
今回の含浸カバ材もそうなのですが、私にとって、筆記具というのは、それまで馴染みの無かった素材、貴金属やさまざまな加工技術との出会いの場、広くて貴重な世界となっています。
ありがたい事です。