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2009年9月19日土曜日
EF-S 17-85mm F4-5.6 IS USMレンズを見直す
今月発売のカメラ雑誌において、プロカメラマン実写による、EOS 7DとEF-S 15-85mm F3.5-5.6 IS USMレンズの組み合わせによる写りの良さが次々と明らかになっています。
新レンズは、EOS 20Dとペアで開発されたEF-S 17-85mm F4-5.6 IS USMの後継という位置づけでありますが、新レンズとは違って、こちらEF-S 17-85mmの方はというと、画質の評価があまり良くなく、不安がって敬遠している方もいらっしゃると思います。
かく言う私も、EOS 20Dを購入して早期に単焦点レンズに移行してしまい、ズームレンズそのものを使う機会が限られているため、積極的にオススメするレンズでも無かったのは事実です。
しかし、EF-S 17-85mm F4-5.6 IS USMは、悪いレンズではなくて、クセの強いズームレンズという言い方が正しく、良く言えば個性的であります。クセさえ理解して使えば、実はとんでもないパフォーマンスを叩き出してくれます。
私も、会社や友人などから公式に依頼されたイベントの撮影では、このレンズ一本だけでこなしたりしましたが、満足行くものでした。
今回の記事では、EF-S 15-85mm F3.5-5.6 IS USMの高評価に触発され、あらためてEF-S 17-85mm F4-5.6 IS USMを見直してみようと思います。
このレンズは、ルックスも良く、ボディの小さなEOS KISS X2に装着すると、かなり仰々しいカメラに変身する印象です。私の手持ちのレンズを撮影してみましたが、新型もいいけれど、このレンズもなかなかハンサム(?)だなぁ・・・と感心してしまいました。
なお、ここから先は、このレンズで撮影した写真を掲載させて頂きますが、ボディはEOS KISS X2ではなくて全てEOS 20D。撮影モードは、全てマニュアルモードでの撮影となります。
■超広角17mm側は弱点を理解すれば怖さが減ります■
このレンズ最大の弱点は広角端の17mmである事は有名です。全てのEFレンズの中でも一番か二番かというくらいの歪曲収差が発生し、色ズレ(倍率色収差)も顕著です。
このレンズ自慢のレンズエレメントである、EFレンズ初の両面非球面レンズは、17mm端には効いて来なかったって事だし、せめてUDレンズを一枚だけ入れて欲しかったなーと何度も思いました。
今度の新レンズでは、まさにそのUDレンズを入れてくれたわけですが、このレンズはそれ無しで頑張らないといけない運命ですもんね。
ですので、直線を表現しようとする場合や、コントラストの高い被写体にはこの弱点を十分に理解して付き合う覚悟が必要であり、時として17mmは使わないという判断も必要です。が、完全に使わないという選択肢はもったいない。
コスモス畑のような自然風景の場合は、17mmであっても歪曲や色ズレを感じさせないアングルで十分に撮れます。そして、17mmの広くて気持ち良い画角を堪能できるわけです。
写真は、焦点距離が17mm。シャッター速度が1/400秒、絞りはF/5.6です。
■広角24mmは、実はかなり優秀なのをご存知でしょうか■
ズームレンズはどうしても広角端と望遠端という両極端で評価されがちです。しかし、このEF-S 17-85mm F4-5.6 IS USMは、実は24mmから優秀なズームレンズとして立ち上がってくるのをご存知でしたでしょうか。
このレンズは「歪曲が酷い」とバッシングを受けますが、24mmからは歪曲が劇的に改善されて、直線物の撮影にも十分に耐えるクオリティーに変化するのです。
単焦点レンズにも勝る歪曲の少なさは、是非とも知ってもらいたい事実であります。
まず、ズームリングを24mmに合わせてから被写体に向かい合ってみて下さい。
24mmは、もちろん17mmには及ばないものの広い範囲が写るので使いやすくて、室内の撮影にも使っていけると思います。
写真は、焦点距離が24mm。シャッター速度が1/13秒、絞り値はF/5.6です。
■望遠端の85mmは高性能レンズ■
このレンズの評価は、もともと標準から望遠端では高いのです。それだけに85mmは積極的に使っていけます。最短撮影距離は35cmですから、被写体をそこそこに大きく捉える事も可能です。
ただし、開放F/5.6と暗めのレンズになってしまいますから、室内撮影では手ぶれ補正装置が大きな意味を持ってくるわけです。
写真はシャッター速度が1/10秒。現場は混雑していたので素早い撮影が必要で、あわてていたのでブレが発生しています。本来はもっとシャープです。
写真は、焦点距離が85mm。絞り値はF/5.6。この焦点距離では開放になりますね。
■EOS 7Dのレンズ選び■
EF-S 17-85mm F4-5.6 IS USMが、EOS 7Dの1800万画素を全て生かし切る事が出来るとは思えませんけれど、そもそも生かし切らなくてもいいじゃんって思います。便利さが命のズームですし。
新規であれば、評価も高い新レンズのキットを買ってしまうのがやっぱりオススメです。
カメラ雑誌を読んでみて、EOS 7Dの誇る1800万画素をキッチリと描き出す実力には目を見張りましたし。
けれど、手持ちでEF-S 17-85mmがあるのであれば、買い替えを決意する前に、まずはこのレンズを使ってみてどうかって感じですね。
だいいち画質やキレにうるさくしたいのであれば、そこは単焦点レンズの出番でありますから、このズームレンズの価値を貶めるものではありません。
それに、EOS 7Dの新AFセンサーは、19点全てがF/5.6対応のクロスセンサー(中央部はF/2.8とのデュアル・クロスセンサー!!)。プロカメラマンによるピントの精度の評価にも十分に耐えるようですから、このEF-S 17-85mm F4-5.6 IS USMが、EOS 20DやEOS KISS X2以上に、実はEOS 7Dとの相性が良いという可能性もあるんじゃないかなーと。
個人的には、もしEOS 7Dを買わないのならば、新タイプ登場で中古が値下がりしているEF 24mm F1.4L USMレンズか、EF 85mm F1.8 USMレンズの新品を買えればいいなぁ・・・と思ったりしてます。
お前はEF-S 15-85mm F3.5-5.6 IS USMを買わないのかと問われれば、「はい」です。これも個人的な感覚ですけれど、EF-S 15-85mm F3.5-5.6 IS USMは、単体では約10万円と高価なので、EOS 7Dとのレンズキットで勢いをつけないと買いにくいのです。
最後が赤文字ですみません。