三菱アイちゃんが家族になってから一週間。
納車までの二週間、待ち遠しくて眠れない夜が続きましたが、納車されたら落ち着くかと思ったら、さにあらず。
毎日が感動の連続でまだ眠れないという大した大したクルマです。
今回の記事では、通勤に、生活に、一週間毎日みっちりと走ってくれた文字通りの"愛(アイ)車"について、走りの感想を中心にして思った点を色々書かせて頂きたいと思います。
アイちゃんは、メーカーの宣伝文句ではありませんが大径タイヤ採用とは思えない、優れた小回り性能に感心させられました。
フロントにエンジンが無いというのは、物理的にタイヤの切れ角が大きく取れるわけで、実際に、パジェロミニが1回切り返しが必要なUターンポイントでUターンしてみたところ、クルッと一発で綺麗にUターン出来ました。
アイちゃんは2550mmという軽自動車ナンバーワン(!)のロング・ホイールベースが好作用しているのか、ミッドシップ・マシンにありがちな神経質さが無いというのは大きい。
直進安定性がちゃんとしてるし、後部座席も含めて居住性には問題なく、スタイリングは伸びやか。
かといって、安定志向のつまらない挙動ではなくてしっかりミッドシップエンジン・リアドライブの楽しさを実感させてくれる。
ミッドシップという諸刃の剣を、よくここまでドライバーの味方として馴染ませてくれたなぁと、胸が温かくなって来ます。
アイちゃんの175/55R15タイヤはまさにスポーツカー用のハイパフォーマンス・タイヤで、コーナリング性能や排水性の優秀さだけでなく、小石の食い込みやすさ、タイヤの摩耗のしやすさまで、もはや二度と乗ることは無いのかなぁと諦めかけていたスポーツカーのそれで、やはり嬉しい。
ただ、アイちゃんのタイヤは、"イオンで4本1万円ちょいで買える手軽さ"みたいなものは全然無くて、へたすると経済的にはパジェロミニのタイヤよりも高くつく可能性があります。
広さと経済性だけを考えてしまうと、到底選べないクルマになっちゃうのがアイの短所でもあり長所でもあるのが面白いところ。
アイちゃんは、横幅は軽規格ならではの限度はあるものの運転席が普通車的な広々感があって、持ち味の走りの楽しさを強力に押し上げてくれますね。
何と言っても、オーバーハングが限界まで切り落とされたフロント・スペースが広さの源泉。
普通のクルマならボンネットがある場所までダッシュボードが広がっているからなんですよね。
アイちゃんが持つ走りの楽しさや居住性は、言ってしまえば、全てがちゃんと当たり前に物理的に裏打ちされたもので、決してトリックや見せかけじゃないというのが好ましい。
アイちゃんは、以前の記事で30秒で走りの良さが分かると書かせて頂きましたが、動いているだけでも楽しい稀有なクルマ。
交通の流れがノロノロでも全くイライラすることなく、ゆっくりまったりと走っても楽しい稀有なクルマです。
スピードを出してビリつくパワーとスリルを味わうのがスポーツカーではなく、まず自分の心をふっくらと豊かに整え、余裕を持つことでより安全運転が出来るクルマこそ、スポーツカーと呼べるのではありますまいか。
アイちゃんのミッドシップ・エンジンは660ccの非力イメージを完全に打破する、大満足のパフォーマンスを生み出してくれます。
結果的にアイ専用開発エンジンとなった3B20型エンジンの詳細については、まだ別の機会に書かせて頂きたいと思うのですが、とにかく低速から十分なトルクを発生させてくれて、アクセルは常にかなりの手加減が必要(!!)
合流、レーンチェンジ、追い越し、全ての動きに余裕があり、4人乗車でも露骨な力不足が無い。
税金を上げてもいいから800ccにして欲しいと長年望んでいた軽自動車用エンジンですが、3B20ターボほどのエンジンが作れるなら、税金上げてまでは800ccいらないと本気で思えます。
普通なら嫌味の塊であるはずのUターン時の挙動も、アイちゃんは素晴らしいスポーツマシンの一言。
クルッと綺麗に素早く回頭し、続く加速まで滑らかに美しくつながり、そのまま伸び行くのは感動としか言いようがありません。
ピュア・スポーツカーでは「こうあるべき」「こうでなければならない」という規則書みたいなもので縛られるものですが、別にメーカーかスポーツカーとは言っていないからこそ、自由な発想で生活も豊かに心も豊かに走りも豊かに出来たのがアイちゃん。
アイ・LOVE・愛。
これから、故障や本当の悪条件下の走りなど、アイちゃんの粗が見えてくる事もありましょう。
でも、何もかも全てが満点なクルマなんてありはしないし、これからもアイちゃんの記事を色々書かせて頂きたくよろしくお願いいたします。
とにかく、パジェロミニの急逝でパニックの中で笑顔を取り戻させてくれたアイは、私にとっては恩人のようなもの。
人様に迷惑をかけたりヘタクソな運転でアイちゃんを曇らせる事などないよう、自分を律し、安全運転のためにさらにドライビングテクニックを研ぎ澄ませ、日々精進して行く所存であります。