その名は「ファーバーカステル FE3000(0.5mm)」。
ほんの少しだけ太めのペン軸は、軽めの砲弾型フォルムと六角形軸の複合タイプ。
威厳のあるダーク・グリーン色とあいまって、隠し切れないファーバーカステルの「特別感」を伴った、普及型の製図用シャープペンシルに仕上がっています。
ノック部分はボリュームのある円筒形で、全体のフォルムを安定させてくれています。
ノックのフィーリングは、やや硬めで良好。
小気味良い繰り出し音は、「上質感」を演出してくれますね。
樹脂製グリップは、深くて広めの溝が多数切ってあり、滑りにくくて指にも低刺激。
一般筆記具としての長時間筆記にも対応出来るのではないでしょうか。
ペン先は、製図用らしく長いリード・スリーブですが、ノーズ・コーン(口金)そのものの形状は控え目であり、"筆記性能を競う"製図用独特の緊張感のようなものを緩和している印象です。
うううむ、それにつけても、高級筆記具専門かな?と思っていたファーバーカステル社が、その存在感をまるで薄めることもなく、キッチリ求めやすい製図用シャープペンシルを出してくれていた事を知った時は、小躍りしそうになりました。
直線と曲線の配合が絶妙で、ぱっと見の派手さは無いのが逆にシャープペンシルの深淵を感じさせてくれます。
いよいよ実際に筆記してみると、樹脂軸シャープとしてはかなり上位に食い込む握りやすさ。
先端に行くにつれて絞り込まれる砲弾フォルムの美点も備えているのは、かなり大きなメリットで、疲れにくくて快適。
ただし、筆圧を強くかけるとペン先が微かに「しなる」感じがします。
もちろん、露骨にがたついたり「剛性不足」というものではありません。
徹底的な剛性を追求しているロットリングやステッドラーと比べてしまうと、最初は正直ちょっと不安になりますが、書き続けて行くと、これが意図的な優しい書き心地をもたらす設計なのだと感じられて、また新しい魅力を製図用シャープに発見出来ました。
FE3000は、製図用シャープペンシルの快適さと、一般筆記シャープペンシルの書き優しさを両方持っていて、求めやすくてしかも特別感まで備えている。
まったく、大したものであります。
